介護保険で介護サービスを利用していると、自己負担額が高額になることがあります。
そんなとき、高額介護サービス費を申請すれば、自己負担額の一部が戻ってくることをご存知でしょうか?
本記事では、高額介護サービス費の対象となるサービスや上限額、申請方法について解説します。
介護保険のサービスを利用している方は、ぜひ最後までご覧ください。
高額介護サービス費とは
高額介護サービス費とは、1ヶ月に支払った 自己負担の合計が一定の基準額を超えた場合に超えた分が払い戻される国の制度です。
対象になる場合は、お住まいの市区町村から通知と申請書が送られてくるので、必要事項を記入して市区町村の担当窓口に申請すると、払い戻しが受けられます。
高額介護サービス費の対象となるサービス
実は、介護保険のサービスには、高額介護サービス費の支給対象となるサービスとならないサービスがあります。
支給対象となるのは、以下の3つのサービスです。
- 居宅サービス
- 介護施設サービス
- 地域密着型サービス
以下で詳しく見ていきましょう。
高額介護サービス費の対象となるサービス①:居宅サービス
高額介護サービス費の対象となる居宅サービスは以下の通りです。
- 自宅で介護を受ける訪問系のサービス
- デイサービス、デイケアなどの通所系サービス
- ショートステイのような短期入所サービス
高額介護サービス費の対象となるサービス②:介護施設サービス
介護施設サービスも高額介護サービス費の対象となります。
介護施設サービスとは、以下の4つの施設への入所に伴うサービスのことです。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
高額介護サービス費の対象となるサービス③:地域密着型サービス
地域密着型サービスとは、高齢者が介護が必要な状態となっても、住み慣れた地域での生活ができるように支援するサービスです。
高額介護サービス費の対象となるのは、以下の地域密着型サービスです。
- (看護)小規模多機能型居宅介護による訪問・通い・泊まりのサービス
- 認知症の方を対象にしたデイサービスやグループホーム
- 定員が29名以下の特定施設や特別養護老人ホーム
高額介護サービス費の対象とならないサービス
次に、高額介護サービス費の支給対象にならないサービスを紹介します。
介護保険が適用されるサービスであっても、以下のサービスは高額介護サービス費の対象外になります。
- 特定福祉用具購入費(ポータブルトイレや入浴用品など)
- 住宅改修費
- 施設での居住費、食費
- 理美容代や日用品費などの実費部分
- 支給限度額を超えた自己負担額
高額介護サービス費の負担上限額
高額介護サービス費の負担上限額は、以下の表のように所得によって6区分に分かれています。
引用:厚生労働省「令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」
市町村民税非課税の世帯の負担上限額は2万4,600円です。
さらに、公的年金とその他の合計所得の合計が年間80万円以下の人(個人)と生活保護の受給者の負担上限は1万5,000円と定められています。
一方で、課税世帯の場合は、所得によって自己負担の上限額が4万4,400円、9万3,000円、14万100円の3つの区分に設定されています。
なお、世帯に2人以上介護保険のサービスを受けている方がいる場合は、利用者負担額を人数分合算することができます。
高額介護サービス費の申請方法
高額介護サービス費の支給を受けるためには、お住まいの市区町村へ申請する必要があります。
申請の流れは以下の通りです。
- 自己負担上限額を超えた際に市区町村から支給申請書が届く
- 申請書の必要事項を記入し返送する
- 申請が受理され、支給決定通知書が届く
- 約2ヶ月後に申請時に指定した口座に振り込まれる
2回目以降は自動的に入金されるため、申請手続きは必要ありません。
また、高額介護サービス費の申請をするときには、以下のものが必要です。
- 高額介護サービス費支給申請書
- 介護保険被保険者証
- マイナンバーがわかるもの
- 印鑑(自治体により不要な場合も)
- 振込先の口座が確認できるもの(本人名義)
注意点として、高額介護サービス費の申請期限は、介護サービスの利用翌月の1日から2年間です。
期限を過ぎると申請が受理されないため、申請書が届いたら忘れずに手続きを行いましょう。
まとめ
高額介護サービス費の制度を利用すると、1ヶ月の介護費用の合計が一定額を超えた場合に超えた分が払い戻されます。介護サービスを使用した際の自己負担額を抑えられるため、介護費用の負担を軽減することができます。
この制度の対象になる場合は、お住まいの市区町村から通知と申請書が送られてくるので、申請期限に間に合うように忘れずに手続きを行いましょう。
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