
障害福祉の仕事について調べていると、「障害支援区分3以上」「区分4の利用者」といった言葉を目にすることがあります。「数字が大きいほど障害が重いということ?」「要介護度とは何が違うの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
障害支援区分は、障害のある方がどの程度の支援を必要としているのかを示す基準です。障害福祉サービスの利用にも関係するため、障害福祉の仕事を目指すなら知っておきたい制度といえます。
この記事では、障害支援区分の意味や区分1〜6の違い、認定されるまでの流れをわかりやすく解説します。
障害支援区分とは?
障害支援区分とは、障害のある方に必要とされる標準的な支援の度合いを示す区分です。
障害者総合支援法に基づく制度で、障害福祉サービスの支給を決める際の基準のひとつとして使われます。区分は1〜6まであり、数字が大きくなるほど必要とされる支援の度合いが高くなります。
ここで注意したいのが、障害支援区分は「障害そのものの重さ」を表す数字ではないことです。
たとえば、同じ障害名や障害者手帳の等級であっても、日常生活で必要とする支援は一人ひとり異なります。そのため、障害名だけで「区分3」「区分5」などと決まるわけではありません。
認定では、身体の動きや食事、排せつといった日常生活だけでなく、意思決定、行動面、医療的ケアなども含めて、どの程度の支援が必要なのかを総合的に判断します。厚生労働省の認定調査では80項目が設定されています。
障害支援区分1〜6の違い
障害支援区分は、区分1から区分6までの6段階です。区分1より区分2、区分2より区分3というように、数字が大きくなるほど必要とされる支援の度合いが高くなります。
| 区分 | 支援の度合い | 主な状態の目安 |
| 区分1 | 低 | 軽度の支援が必要。日常生活の多くは自立しているが、一部に見守りや手助けが必要。 |
| 区分2 | ↓ | 日常生活動作(家事や外出など)の一部に支援が必要。 |
| 区分3 | 中 | 食事・排泄・入浴などの日常生活全般において、一定の介助や見守りが必要。 |
| 区分4 | ↓ | 日常生活全般にわたって継続的な介助が必要。中等度以上の支援を要する状態。 |
| 区分5 | ↓ | 日常生活の大部分で全面的な介助が必要。身体障害の重度化や行動障害が見られる状態。 |
| 区分6 | 高 | 常時全面的な介助が必要。最重度の身体障害、重複障害、著しい行動障害(強度行動障害など)がある状態。 |
ただし、「一人で歩けない人は区分4」「食事介助が必要なら区分3」といったように、特定の状態と区分が対応しているわけではありません。
複数の調査項目から必要な支援を判定するため、同じような身体状況に見える人でも、認知面や行動面、医療的ケアなどの状況によって区分が異なることがあります。
区分によって利用できるサービスが異なる場合がある
障害支援区分は、障害福祉サービスの利用要件にも関係します。
たとえば、居宅介護は原則として区分1以上、重度訪問介護は区分4以上で、さらにそれぞれのサービスで定められた条件を満たす必要があります。行動援護は区分3以上で、認定調査の行動関連項目などについても要件が設定されています。
生活介護の場合は、原則として区分3以上で、障害者支援施設などに入所して利用する場合は区分4以上です。50歳以上では、区分2以上、入所して利用する場合は区分3以上とされています。
一方、視覚障害のある方の外出を支援する同行援護は、障害支援区分の認定を必要としません。
このように、障害支援区分はサービスを利用できるかどうかを判断する材料になりますが、区分だけですべてが決まるわけではありません。サービスごとに対象者の要件が定められています。
障害支援区分の認定で確認される項目
障害支援区分の認定では、本人の生活状況などを把握するために「認定調査」が行われます。
認定調査では、次のような内容を含む80項目について確認します。
- 寝返りや立ち上がりなどの動作
- 食事や排せつなどの日常生活
- 掃除や買い物などの生活に関する能力
- 視力や聴力
- 薬の管理や意思決定
- 行動面で必要となる支援
- 点滴や経管栄養などの医療的ケア
身体介護が必要かどうかだけではなく、知的障害や精神障害、発達障害などの特性によって必要となる支援についても判断できる仕組みになっています。
障害支援区分が認定されるまでの流れ
障害支援区分は、調査員の判断だけで決まるものではありません。認定調査や医師意見書など、複数の情報をもとに審査します。
1.市区町村に申請する
障害福祉サービスの利用を希望する場合は、市区町村の窓口に申請します。
申請したサービスの利用に障害支援区分の認定が必要な場合は、その後、認定調査などの手続きが行われます。
2.認定調査を受ける
認定調査員が本人や家族などから、心身の状態や普段の生活について聞き取ります。
80項目について確認するとともに、選択肢だけでは表しにくい本人の状況などは「特記事項」に記録します。
3.医師意見書が作成される
市区町村からの依頼を受け、医師が本人の疾病や心身の状態などについて意見書を作成します。
認定調査だけでは把握しにくい医学的な情報などを確認するために使われます。
4.一次判定が行われる
認定調査の結果と医師意見書の一部をもとに、コンピュータによる一次判定が行われます。
判定結果は「非該当」または「区分1〜6」のいずれかです。ただし、この時点では最終的な区分は決定していません。
5.市町村審査会で二次判定を行う
一次判定の結果をもとに、市町村審査会が二次判定を行います。
審査では、一次判定の結果だけでなく、認定調査の特記事項や医師意見書なども確認し、本人に必要な支援の度合いを検討します。
6.市区町村が障害支援区分を認定する
市町村審査会の審査判定結果を踏まえて、市区町村が障害支援区分を認定します。
その後、本人の利用意向や生活環境、サービス等利用計画案なども踏まえ、利用する障害福祉サービスや支給量が決められます。
障害支援区分と要介護認定の違い
障害支援区分と混同しやすいものに、介護保険の「要介護認定」があります。
どちらも本人にどの程度の支援や介護が必要なのかを判断する仕組みですが、根拠となる制度や利用するサービスが異なります。
障害支援区分は障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスに関係する区分です。一方、要介護認定は介護保険法に基づく介護保険サービスを利用する際に用いられます。
また、障害支援区分では、身体的な介護の必要性に加えて、知的障害や精神障害、行動面の特徴なども反映できるように認定調査の仕組みが設けられています。
名称や認定の流れには似ている部分がありますが、別の制度として理解しておきましょう。
福祉の仕事で障害支援区分をどう見るときのポイント
障害者支援施設や生活介護事業所、グループホームなどで働くようになると、利用者の障害支援区分を見る機会があります。
ただし、「区分5だから何でも介助する」「区分2だから支援は少なくてよい」と判断するものではありません。
障害支援区分は、あくまで必要とされる標準的な支援の度合いを示すものです。同じ区分でも、本人ができることや苦手なこと、コミュニケーションの方法、生活習慣、希望する暮らしは異なります。
福祉の現場では、区分の数字だけを見るのではなく、その人がどのような場面で支援を必要としているのかを知り、本人に合った支援を考えることが大切です。
まとめ

障害支援区分とは、障害のある方に必要とされる標準的な支援の度合いを、区分1〜6で示すものです。数字が大きくなるほど支援の度合いは高くなりますが、障害そのものの重さを表しているわけではありません。
認定では80項目の認定調査や医師意見書などをもとに一次判定を行い、市町村審査会による二次判定を経て、市区町村が区分を認定します。
障害福祉の仕事に就くと、障害支援区分は利用者の支援を考えるうえで身近な制度になります。区分の数字だけではなく、本人が日常生活のどのような場面で支援を必要としているのかを見ることが、利用者への理解につながるでしょう。
参考
- 厚生労働省「障害支援区分」
- 厚生労働省「障害福祉サービスについて」
監修:中谷ミホ(社会福祉士、介護福祉士、保育士)


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