
認定介護福祉士とは、介護福祉士の上位資格として位置づけられる民間の認定資格です。介護現場でのリーダーシップや専門的知識・技術の習得を目的としており、介護職のキャリアアップの新たな選択肢として注目を集めています。
この記事では、認定介護福祉士の役割や、資格の取得方法、そして取得するメリットを紹介します。介護職として更なる成長を目指したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
認定介護福祉士とは?
認定介護福祉士は、一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構が認証・認定している、介護福祉士の上位資格です。2015年12月から制度化され、より質の高い介護実践、介護サービスマネジメント、地域包括ケアの推進に貢献できる介護福祉士を育成することを目的としています。
国家資格ではありませんが、現場での信頼性や実践力を示す証明として高く評価されています。
認定介護福祉士の主な役割
認定介護福祉士は、介護現場において高度な知識と技術を活かし、さまざまな役割を果たします。主な役割は次の通りです。
チームマネジメント機能
看護師や理学療法士、作業療法士などの他職種と連携し、介護チーム全体の業務を円滑に進める調整役を担います。業務分担や情報共有を効率化し、チームとしてのケアの質を高めることが求められます。
教育・指導機能
後輩職員に対して、経験に基づくだけでなく、科学的根拠のある介護技術を体系的に指導します。職場内研修の企画・運営を通じて、介護現場全体のスキル向上に貢献します。
高度実践機能
認知症や終末期ケアなど、対応が難しいケースでも、利用者一人ひとりの状態や背景を理解したうえで、柔軟かつ的確な対応が求められます。状況に応じた判断力と対応力が重視されます。
地域連携機能
地域包括ケアの中心的存在として、地域の医療機関、福祉施設、行政などと連携し、利用者が地域で自分らしく暮らし続けられるよう支援を行います。
認定介護福祉士の資格取得までの具体的なルート
次に、資格取得までの具体的な流れを解説します。
①まずは「介護福祉士」としての実務経験が必要
認定介護福祉士は介護福祉士の上位資格であるため、まず国家資格である「介護福祉士」の資格を持っていることが大前提となります。
その上で、介護福祉士としての実務経験が5年以上必要です。現場でのさまざまなケースを経験し、介護職としての基礎を固めていることが、次のステップに進むための土台となります。
▶︎認定介護福祉士になるための前提条件
- 介護福祉士の資格を保有していること
- 介護福祉士としての実務経験が5年以上あること
- 現任研修を100時間以上受講していること
- 小チームでのリーダー経験や、居宅・施設両方での経験があることが望ましい
②認定介護福祉士養成研修(Ⅰ類・Ⅱ類)を受講する
前提条件を満たした上で、「認定介護福祉士養成研修」を受講する必要があります。養成研修は「Ⅰ類」と「Ⅱ類」の2段階に分かれており、両方の研修を修了することで、認定介護福祉士の資格申請が可能になります。
認定介護福祉士養成研修Ⅰ類 (13科目)
認定介護福祉士として必要な基礎的な知識・技術を学びます。医療やリハビリ、認知症ケアなど、幅広い領域を網羅します。
認定介護福祉士養成研修Ⅱ類 (9科目)
Ⅰ類で学んだ内容を土台に、より実践的なチームマネジメントや、地域における他職種との連携方法などを学びます。
Ⅰ類とⅡ類を合わせて、合計600時間の研修を受ける必要がありますが、最近ではeラーニング(オンライン学習)を導入している研修機関も多く、働きながらでも受講しやすい環境が整いつつあります。
▶︎詳しくはこちらをご覧ください。
③認定申請と資格取得
研修修了後は、認証機構への認定申請を行います。必要書類を提出し、審査を経て認定証が交付されます。
取得費用と期間の目安
▶︎費用の目安
研修費用は実施機関によって異なりますが、目安として30万円~60万円程度かかるのが一般的です。その他、認定申請料(約3万円)や更新費用(5年ごと約2万円)も必要です。
▶︎取得期間
標準的には1年~1年半程度で取得可能ですが、働きながら学習する場合は2~4年のゆっくりペースで進めることも可能です。
認定介護福祉士を取得するメリット
メリット1:介護現場のリーダーとしてキャリアアップできる
最大のメリットは、キャリアアップの道が明確に開けることです。認定介護福祉士は、介護チームのリーダーやサービス提供責任者、さらには施設の管理者などを目指す上で非常に有利な資格となります。
現場の介護職員をまとめるだけでなく、サービスの質を管理・向上させる役割を担うことで、より責任とやりがいのあるポジションに就くチャンスが広がります。
メリット2:給料・手当のアップが期待できる
資格取得は、収入の向上にもつながります。厚生労働省の調査によると、介護福祉士の平均月収は約33万1,080円です。認定介護福祉士を取得すると、多くの事業所でリーダー手当や資格手当が支給され、月額5,000~15,000円程度の収入アップが期待できます。
メリット3:専門知識を深め、介護の質を向上できる
認定介護福祉士の養成研修では、医療・リハビリ・認知症ケア・心理支援・福祉用具・地域連携など幅広い領域を学びます。これにより、「なぜこのケアが必要なのか」「どのような支援が最適か」を科学的に判断できる力が身につきます。
現場での実践がより根拠のあるものとなり、利用者や家族、チームメンバーからの信頼が高まります。介護の質を高めることは、利用者の満足度とQOL(生活の質)の向上にも直結します。
メリット4:活躍の場が広がる
認定介護福祉士の学びは、施設内にとどまらず地域全体に及びます。地域ケア会議や介護予防事業、行政と連携した取り組みなどに積極的に関われるようになり、「地域包括ケアシステム」の実現に向けた中核人材として活躍できます。
地域の介護ニーズに対応できるスキルと視野を持った人材は、今後ますます重宝されるでしょう。地域づくりに貢献したいと考える方にとって、大きなやりがいとなるでしょう。
メリット5:転職で有利になる可能性がある
将来的なキャリアチェンジを見据えたとき、認定介護福祉士の資格は大きな強みとなります。介護業界では人材確保が課題となっており、経験と専門知識を兼ね備えた人材は、どの事業所でも高く評価されます。
「認定介護福祉士」としての肩書きは、採用担当者に対して強い印象を与える武器となり、より良い条件での転職・再就職を可能にするでしょう。
まとめ

認定介護福祉士は、介護職のプロフェッショナルとしての高度なスキルとリーダーシップを証明する資格です。取得には努力と時間、費用が必要ですが、それに見合った価値と信頼が得られます。
現在介護福祉士として活躍されている方で、さらなるキャリアアップと専門性の向上を目指したい方は、認定介護福祉士の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
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