児童福祉司とは?任用資格の取り方や仕事内容・他の資格との違いを解説!

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児童福祉司は、児童相談所で児童やその保護者などからの相談に応じ、適切な支援を行う職種です。

少子化が進む一方で、児童虐待をはじめとする育児の相談件数は年々増加傾向にあり、児童福祉司の需要が急速に高まっています。

今回は、児童福祉司になる方法や仕事内容、他の資格との違いについてくわしく解説します。

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児童福祉司とは

児童福祉司とは、児童福祉法に基づいて各自治体に設置されている児童相談所に勤務する地方公務員です。

児童相談所は令和6年4月現在全国に234か所設置されており、令和4年度現在で約5,780人の児童福祉司が存在します。

政府は児童虐待防止対策をさらに進めていくため、令和6年度までに児童福祉司の数を約6,850人程度まで増やすことを目標にしています。

児童福祉司の仕事内容

児童福祉司による相談・援助の対象は、18歳未満の児童とその保護者です。

具体的な仕事内容を表にまとめました。

項目仕事内容
相談児童や保護者から児童の福祉に関する相談に応じる。
調査・診断相談を受理したうえで必要な調査や、どのような援助が必要かを判断するための社会診断を実施する。調査の状況に応じて児童の一時保護を行う場合もある。
支援・指導調査・診断により策定した援助指針を基に、児童と保護者に対して適切な支援や指導を行う。
保護者との関係調整家族療法などを通して児童と保護者の関係調整を行う。

児童相談所には、虐待や障がい、不登校など日々さまざまな相談が寄せられます。

児童福祉司は、あらゆる相談内容に対応できるよう、話しやすい雰囲気づくりと共に社会学や心理学など幅広い知識と経験が求められます。

児童福祉司になるには

児童福祉司になるには、任用資格を得て地方公務員試験に合格する必要があります。

くわしい流れを見ていきましょう。

手順①児童福祉司の任用資格を取得

任用資格とは、特定の職種に就くために国が定めた資格基準のことです。要件を満たす人が児童福祉司として従事する期間のみ、その資格を名乗ることができます。

児童福祉司の任用資格を得る方法は、以下の9ルートです。

               (出典:厚生労働省「児童福祉司の概要等について」)

ルートによっては実務経験や、厚生労働省が定める指定講習会の課程を修了する必要があります。

手順②地方公務員試験に合格する

児童相談所で働くには、地方公務員試験の「福祉職」または「社会福祉区分」で合格しなければなりません。

試験範囲は児童福祉に関する専門知識だけでなく、一般教養や法律知識など多岐に渡り、競争率も高いです。

また、自治体によって受験可能な年齢の上限が設定されており、一般的に20代〜30代が多いです。

ただし、他の区分より上限を高く設定している自治体や、年齢制限のない自治体もあるため、受験する自治体の要件を確認しておきましょう。

地方公務員試験に合格後、児童相談所に配属されてはじめて児童福祉司として働けます。

児童福祉司になる最短ルート

児童福祉司になる最短ルートは、都道府県知事の指定する養成校を卒業し、地方公務員試験に合格することです。

2024年5月現在、養成校は以下の2か所に存在します。

  • 国立武蔵野学院附属児童自立支援専門員養成所(埼玉県)
  • 国立障害者リハビリセンター学院 児童指導員科(埼玉県)

また、一定の条件を満たせば以下の通信課程で任用資格を得ることもできます(ス

クーリングあり)。

  • 中央福祉学院 児童福祉司資格認定通信課程(神奈川県)

各養成校の修業期間は1年程度です。

通信課程以外の養成校は通学となりますが、近隣にお住まいの方や早く児童福祉司になりたい方は検討すると良いでしょう。

児童福祉司と他の資格との違い

ここでは、児童福祉司と「社会福祉士・精神保健福祉士・児童指導員」の違いについて解説します。

社会福祉士

社会福祉士は「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく国家資格で、あらゆる世代の方の福祉に関する課題解決をサポートする専門職です。

社会福祉士の勤務先は、高齢者施設や障害者支援施設、児童福祉施設など非常に多岐に渡ります。

児童福祉司の任用資格に社会福祉士も含まれるため、条件を満たせば児童福祉司として働けます。

精神保健福祉士

精神保健福祉士は、精神保健福祉法に基づく国家資格で、精神障がいを抱えた人が円滑に社会生活を送れるよう、支援や助言などを行います。

主な勤務先は医療機関の精神科や保健所などですが、児童福祉司の任用資格でもあるため条件を満たせば児童相談所で勤務可能です。

児童相談所に訪れる児童や保護者のなかには、精神的なサポートを必要とする方もいるため、精神保健福祉士の専門性は、児童福祉の現場で大いに役立つでしょう。

児童指導員

児童指導員は、障がいのある児童や事情により保護者と暮らせない児童を監護し、必要な支援を行う職種です。

児童指導員は児童福祉法に基づく任用資格ですが、児童福祉司とは資格の要件や勤務先が異なります。

児童指導員の任用資格の要件は、以下の通りです。

  1. 都道府県知事の指定する児童福祉施設の職員を養成する学校その他の養成施設を卒業
  2. 社会福祉士または精神保健福祉士の資格を所持
  3. 大学または大学院で所定の課程を修了
  4. 教員免許を所有
  5. 児童福祉施設で3年以上の実務経験がある

児童指導員の主な勤務先は障害児施設や児童養護施設ですが、条件を満たせば児童福祉司の任用資格を得られます。

まとめ

児童福祉司は、児童相談所で児童とその保護者のさまざまな相談に応じ、必要な支援や指導を行う職種です。

令和2年度には児童相談所の虐待相談対応件数が20万件を超えるなど、児童と保護者を取り巻く環境は厳しさを増しています。

こうした状況を踏まえて令和6年4月1日より改正児童福祉法が施行され、児童相談所による児童への支援を強化することが示されました。

児童福祉司の人手も不足しており、政府は人材確保のための施策や支援体制の確立を積極的に打ち出しています。

児童福祉分野に興味のある方は、児童福祉司の任用資格の取得をぜひ検討してみてください。

小原 宏美

大学で音楽療法を学び、卒業後は児童養護施設、高齢者通所介護施設にて勤務。生活支援と並行して、音楽療法による利用者のQOL向上に取り組む。現在はフリーライターとして、子育てや美容などに関わる記事を執筆している。保有資格:保育士・介護福祉士・日本音楽療法学会認定音楽療法士(補)

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