強度行動障害支援者養成研修とは?基礎研修・実践研修の内容や受講するメリットを解説

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自傷や他害、物を壊すといった行動が頻繁にみられ、特別な配慮や支援を必要とする状態を「強度行動障害」といいます。こうした状態にある人への適切な支援について学ぶのが、強度行動障害支援者養成研修です。

障がい福祉の現場で働いていると、職場から受講を勧められることがあります。しかし、どのようなことを学ぶのか、基礎研修と実践研修は何が違うのか、詳しくは知らない方もいるでしょう。

この記事では、研修の目的や基礎研修・実践研修の違い、受講対象、仕事に活かすメリットなどを解説します。

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強度行動障害支援者養成研修とは

強度行動障害支援者養成研修は、強度行動障害のある人に適切な支援を行うために、必要な知識や技術を学ぶ研修です。入所、通所、居宅、相談など、障害福祉サービスに携わる職員を対象に、基礎的な知識や支援計画の立案方法などを学びます。

強度行動障害とは、自分の体を叩く、食べられないものを口に入れる、危険につながる飛び出しをする、他人を叩く、物を壊す、大泣きが何時間も続くなどの行動が著しく高い頻度で起こり、特別に配慮された支援が必要になっている状態です。

こうした行動だけを見ると、「どうすればやめてもらえるのか」と考えがちです。しかし、強度行動障害のある人への支援では、行動の背景にある障がい特性や本人の困りごと、周囲の環境との関係を捉えることが求められます。

たとえば、予定がわからないことへの不安や、音・光などへの感覚過敏、周囲に意思をうまく伝えられないことが行動につながっている場合もあります。研修では、本人の特性を理解し、環境を整えたりコミュニケーション方法を工夫したりしながら、チームで統一した支援を行う考え方を学びます。

なお、強度行動障害支援者養成研修は国家資格ではなく、所定の課程を修了した人が「研修修了者」として扱われるものです。

強度行動障害支援者養成研修には「基礎研修」と「実践研修」がある

強度行動障害支援者養成研修には、「基礎研修」と「実践研修」があります。基礎研修では支援に必要な基本的な知識を学び、実践研修ではその知識をもとに具体的な支援方法を組み立てる力を身につけます。

基礎研修実践研修
主な目的チームで支援するために必要な基礎知識を学ぶ障がい特性に配慮した具体的な支援方法を立案する
研修時間12時間12時間
主な対象行動障害のある人の支援に携わる人、今後携わる可能性のある人など原則として基礎研修修了者
主な内容強度行動障害の理解、障がい特性、コミュニケーション、情報収集、記録などアセスメント、支援計画、支援手順書、記録・評価、チーム支援など

基礎研修で学ぶこと

基礎研修は、強度行動障害のある人をチームで支援するための基本を身につける研修です。標準的なカリキュラムは講義と演習を合わせて12時間で構成されています。

講義では、強度行動障害の基本的な理解のほか、制度、構造化、支援の基本的な枠組み、記録、虐待防止などを学びます。演習では、情報収集と記録の共有、コミュニケーション、行動の背景にある障がい特性の捉え方などを扱います。

支援者個人の経験や感覚だけで対応するのではなく、本人について得た情報を整理し、チームで共有して支援するための土台をつくる研修と考えるとわかりやすいでしょう。

実践研修で学ぶこと

実践研修は、基礎研修で学んだ内容をさらに深め、障がい特性に配慮した具体的な支援方法を考える研修です。こちらも標準的な研修時間は12時間です。

具体的には、本人の情報をもとに障がい特性を整理し、支援計画や支援手順書を作成する方法を学びます。さらに、支援を実施した結果を記録し、うまくいった点や見直す点を評価して次の支援につなげる考え方も扱います。

強度行動障害のある人への支援では、担当職員ごとに対応が変わることで、本人が混乱する場合があります。実践研修では、チームで同じ方向を向き、決めた支援方法を丁寧に実施することも重視されています。

強度行動障害支援者養成研修は誰が受講できる?

基礎研修は、障害福祉サービスなどに従事し、行動障害のある人の支援に携わっている人や、今後携わる可能性がある人などが主な対象です。入門段階の研修であり、国の基礎研修テキストでは経験年数を問わないとされています。

実践研修は、原則として基礎研修を修了した人が対象です。そのため、初めて受講する場合は、まず基礎研修から受けることになります。

具体的な受講資格や申込条件は、研修実施機関によって異なる場合があります。受講を希望する際は、都道府県や研修実施機関が公表している募集要項を確認しましょう。

強度行動障害支援者養成研修を受講するメリット

強度行動障害のある人への支援を体系的に学べる

研修の大きなメリットは、強度行動障害のある人への支援を体系的に学べることです。

現場では、自傷や他害など目の前の行動への対応に意識が向きやすくなります。研修を通して、行動の背景にある障がい特性や環境との関係を整理する視点を持つことで、「その行動を止める」だけではない支援を考えやすくなります。

チームで共通した支援をしやすくなる

強度行動障害のある人への支援では、職員間で対応方法を共有することも重要です。

研修では、情報収集や記録、支援手順書などを活用し、チームで同じ方向に向かって支援する方法を学びます。職員ごとに異なる対応をするのではなく、本人に合った方法を共有して支援できるようになることは、現場で研修を活かす大きなポイントです。

活躍できる仕事や職場の幅が広がる

強度行動障害のある人は、生活介護、施設入所支援、共同生活援助(グループホーム)、短期入所、児童発達支援、放課後等デイサービスなど、幅広い障害福祉サービスを利用しています。

障害福祉サービス等では、強度行動障害支援者養成研修の修了者の配置が、加算などの要件に関係する場合があります。たとえば、相談支援の「行動障害支援体制加算」では、実践研修等を修了した相談支援専門員を配置することなどが要件となっています。

厚生労働省が実施した2025年度の調査では、強度行動障害者・児の受け入れが可能になる条件として、「強度行動障害に対応できる職員が配置できること」を挙げた事業所は74.3%でした。専門的な支援ができる人材へのニーズの高さがうかがえます。

障がい者支援には、生活支援員や職業指導員などさまざまな仕事があります。
詳しくは「障害者支援の仕事とは?職種や必要な資格、仕事内容、未経験から始めるポイントを解説」も参考にしてください。

強度行動障害支援者養成研修を受講するには

強度行動障害支援者養成研修は、都道府県や、都道府県から指定を受けた研修事業者などが実施しています。

受講を希望する場合は、まず都道府県のWebサイトなどで「強度行動障害支援者養成研修」と検索し、開催予定や研修実施機関を確認しましょう。研修実施事業者の一覧を公開している自治体もあります。

開催方法は会場での集合研修だけでなく、オンラインや通信学習を取り入れている研修もあります。受講料は研修実施機関によって異なります。申込前に、開催日程や定員、受講資格とあわせて募集要項を確認しましょう。

また、研修修了後に交付される修了証書には有効期限がなく、更新や定期的な再受講は必要ありません。

強度行動障害への理解を深め、本人に合った支援につなげよう

強度行動障害支援者養成研修は、自傷や他害などの行動だけに注目するのではなく、その背景にある障がい特性や本人の困りごとを理解し、適切な支援につなげるための研修です。

基礎研修では支援に必要な基本的な知識を学び、実践研修ではアセスメントや支援計画、支援手順書の作成など、より実践的な内容を学びます。

強度行動障害のある人を支援している方や、今後そうした職場で働きたいと考えている方は、自分の仕事との関係や受講条件を確認したうえで、基礎研修の受講を検討してみてはいかがでしょうか。

監修:中谷ミホ(社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員、保育士)

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