指定保育士養成施設を卒業していない方が保育士になるには、保育士試験に合格する必要があります。
保育士試験は働きながらの受験も可能である一方、合格率や試験の難易度が気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、保育士試験の合格率や試験の難易度、合格するためのポイントについて解説します。
保育士試験の合格率
保育士試験の難易度は高く、合格率は例年20%前後です。
過去5年間の推移を表にまとめました。
実施年度 | 合格率 |
2018年度 | 19.7% |
2019年度 | 23.9% |
2020年度 | 24.2% |
2021年度 | 20.0% |
2022年度 | 29.9% |
(出典:厚生労働省「保育士の現状と主な取組」 など)
受験者数は、過去5年間では2022年の79,378名が最多で、合格率も最も高くなっています。
保育士試験の難易度が高い理由
難易度が高い理由として、以下の2つが考えられます。
- 筆記試験と実技試験がある
- 筆記試験の合格基準が高い
筆記試験と実技試験がある
保育士試験には筆記試験と実技試験があり、筆記試験を全科目合格した方のみが実技試験に進めます。
実技試験は3科目から2つを選んで受験しますが、合格するには事前に練習するなどして対策することが望ましいです。
筆記試験だけでなく、実技試験に関しても一定以上のスキルが求められるのが、合格率が低い理由のひとつです。
ただし、幼稚園教諭免許保有者など、一定の条件を満たす場合は実技試験が免除となります。
筆記試験の合格基準が高い
筆記試験は全9科目から160問が出題され、合格するには9科目全てで6割以上の点数を取らなければなりません。
1科目でも落としてしまうと不合格となるため、働きながら筆記試験を1発で合格するのは至難の業と言えるでしょう。
ただし、1度合格した科目は3年間有効となるため、3年以内で全科目合格を目指すのもひとつの方法です。
また、既に保有している資格によっては一部科目が免除される場合もあります。
保育士試験の試験概要
保育士は児童福祉法に基づく国家資格で、例年4月頃と10月頃の年2回、試験が実施されています。
ここでは筆記試験と実技試験の概要を見ていきましょう。
筆記試験の概要
筆記試験はマークシート方式で、全部で8教科9科目あります。
- 保育原理
- 教育原理及び社会的養護
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 保育の心理学
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
各科目において、満点の6割以上の得点で合格です。
ただし「教育原理及び社会的養護」の科目に関しては、2分野を同時に6割以上得点した場合に合格となります。
実技試験の概要
実技試験は「音楽」「造形」「言語」の3科目から2つを選択して受験します。
各科目の大まかな試験内容を以下にまとめました。
科目 | 試験内容 |
音楽 | ピアノ・アコーディオン・アコースティックギターのいずれかの楽器を選択し、課題曲(2曲)を弾き歌いする。 |
造形 | 当日示されるテーマ(保育の一場面に関するもの)を、鉛筆と色鉛筆を用いて縦横19cmの絵画に表現する。 |
言語 | 課題のお話(昔話など)からひとつ選択し、3歳児クラスの子どもが集中して聞ける想定で、3分にまとめて語る。 |
実技試験の合格は、各分野50点満点のうち、それぞれ6割以上(30点以上)得点することが条件です。
保育士試験に合格するためのポイント
保育士試験は難易度が高いため、以下のポイントをおさえて勉強するのが合格への近道です。
- 学習計画を立てる
- 最新の法改正を確認する
- 通信教育や予備校での修学も検討する
学習計画を立てる
保育士の試験範囲は幅広いため、受験する日から逆算して計画的に勉強することが大切です。
前期(4月頃)に受験する場合のスケジュールをまとめました。
期間 | 学習内容 |
~2月末頃まで | 参考書などで、全科目の試験範囲の概要を把握する。 |
3月~試験当日まで | 問題集や過去問を繰り返し解き、マークシート方式に慣れる。 |
働きながらの受験で一度に全科目を学ぶのが困難な方は、3年以内で全科目合格する計画を立てて勉強しても構いません。
なお、令和5年度の試験問題と解答は全国保育士養成協議会でも公開されているので、一度は見ておきましょう。
最新の法改正を確認する
試験問題は「児童福祉法」や「保育所保育指針」などから出題されますが、こうした法律や指針はたびたび改正されています。
近年では2019年から施行された「幼児教育・保育無償化」など、改正されて間もない事柄は出題されやすいです。
古い参考書や問題集で学習していると、このような最新の法改正や出題傾向に気づけない恐れがあります。
書籍に記載されている「〇年度版」の表記を確認し、できるだけ最新版のもので勉強しましょう。
通信教育や予備校などで学ぶことも検討する
独学で学ぶのが難しく感じる方や、筆記試験の1発合格を目指す方は、通信教育や予備校などで学ぶのもおすすめです。
独学と比較して費用はかかりますが、通信教育だと添削指導があったり、予備校だと講師に直接質問できたりする点がメリットです。
学習カリキュラムは最新の法律や、筆記・実技の出題傾向にも対応しているため短期間で効率よく学べます。
また、地方自治体が協賛して対策講座を実施しているところもあるので、ぜひ調べてみてください。
まとめ
保育士試験の合格率は、例年20%前後で推移しており、難易度は高いと言えます。
ただし、筆記試験は1度合格した科目は3年間有効なので、2回目または3回目の受験で全科目の合格を目指す方も多いです。
筆記試験の学習ポイントとしては、最新の法改正や出題傾向を把握することが重要になります。
独学でこれらを網羅するのが難しい方は、通信教育や予備校などを利用すると効率よく学習できます。
筆記試験に合格した後は、実技試験に向けた準備と対策も必要です。
自分が合格したい年度から逆算して、計画的に勉強を進めていきましょう。
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