作業療法士と言語聴覚士の違いは?仕事内容・資格取得ルート・給料の目安を解説

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将来は医療・福祉の分野で働きたいものの、「作業療法士と言語聴覚士の違いがよくわからない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

どちらもリハビリテーションの専門職ですが、仕事内容や資格取得までのルートには違いがあります。

今回は、両者の仕事内容や活躍する場所、資格取得ルート、国家試験の合格率、給料の目安などを比較します。

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作業療法士と言語聴覚士の違い

作業療法士と言語聴覚士は、どちらも国家資格を持つリハビリテーションの専門職です。医療や福祉の現場では、次の略称でよばれています。

  • 作業療法士:Occupational Therapist(OT)
  • 言語聴覚士:Speech-Language-Hearing Therapist(ST)

作業療法士は生活に関わる幅広い「作業」を、言語聴覚士はことば・聞こえ・食べる機能を中心に支援します。

比較項目 作業療法士 言語聴覚士
主な専門分野 日常生活動作、家事、仕事、趣味、社会参加など ことば、聞こえ、コミュニケーション、摂食嚥下など
略称 OT ST
主な勤務先 病院、介護施設、精神科、訪問リハビリ、障がい福祉・児童分野など 病院、介護施設、訪問リハビリ、児童福祉施設など
主な養成期間 3年以上 3年以上。学歴や履修状況による別ルートあり
2026年国家試験合格率 91.2% 66.4%

仕事内容の違い

作業療法士は、食事や入浴、家事、仕事、趣味など、生活するうえで必要な活動を「作業」と捉えて支援します。

主な仕事内容は次のとおりです。

  • 食事・入浴・排せつなどの日常生活動作の練習
  • 自助具※1の提案や作成、使う練習
  • 手工芸や絵画などを通じた機能訓練
  • 家事や外出の練習、職業生活への復帰支援
  • 遊びや学習を通じた子どもの発達支援

たとえば、脳卒中で手が動かしにくくなった方には、食事動作を練習したり、自助具を提案したりします。

一方、言語聴覚士は、ことばによるコミュニケーションや聞こえ、食べる機能などに問題がある方を支援します。

  • 失語症※2や構音障害※3などがある方へのコミュニケーション訓練
  • 聴覚障害に対する聞こえの検査や補聴器使用のサポート
  • 嚥下障害※4がある方への摂食嚥下訓練
  • ことばの発達に遅れがある子どもへの言語訓練
  • 高次脳機能障害※5に対する記憶や注意機能などの訓練

ことばが出にくい方には会話や課題を通した練習を行い、食事では飲み込みの状態を評価して姿勢や食べ物の形態について助言することもあります。

※1自助具:身体が動かしにくい方の日常生活を補助する用具
※2失語症:脳の病気やけがにより、ことばの理解や表現が難しくなる状態
※3構音障害:口や舌などをうまく動かせず、発音が不明瞭になる状態
※4嚥下障害:食べ物や飲み物をうまく飲み込めない状態
※5高次脳機能障害:脳の病気やけがにより、記憶・注意などに障害が生じる状態

活躍する場所の違い

作業療法士は身体機能だけでなく、精神面や日常生活、社会参加まで幅広く支援するため、一般病院や精神科病院、介護施設、障がい福祉・児童分野などで活躍しています。

言語聴覚士は、ことばや聞こえ、摂食嚥下などを専門としており、病院を中心に介護施設や訪問リハビリテーション、児童福祉施設などでも働いています。

働く場所には共通点がありますが、どのような課題を持つ方を主に支援するかが両職種の違いです。

養成課程の年数やルートの違い

作業療法士は、高校卒業後、指定された養成校で3年以上学ぶのが基本です。主な進学先には、4年制大学、3年制短期大学、3年制・4年制の専門学校があります。

言語聴覚士にも高校卒業後に3年以上学ぶルートがありますが、学歴や大学などで履修した科目によって別のルートを選べる場合があります。

  • 高校卒業後:指定された大学・短期大学・専門学校などで3年以上学ぶ
  • 4年制大学卒業後:指定された養成課程で2年以上学ぶ
  • 大学などで一定期間修業し、指定科目を履修した場合:条件に応じて1年以上または2年以上の養成課程で学ぶ
  • 4年制大学で指定科目を履修して卒業し、受験資格を得るルートもある

言語聴覚士は、作業療法士よりも学歴や履修状況によって受験資格を得るまでのルートが分かれている点が特徴です。

国家試験の合格率の違い

作業療法士と言語聴覚士として働くには、それぞれの国家試験に合格し、免許を取得する必要があります。

実施年 作業療法士 言語聴覚士
2026年 91.2% 66.4%
2025年 85.8% 72.9%
2024年 84.4% 72.4%
2023年 83.8% 67.4%
2022年 80.5% 75.0%

直近5年間の平均合格率は、作業療法士が約85.1%、言語聴覚士が約70.8%です。この5年間では、言語聴覚士の合格率が作業療法士より低い傾向にあります。

ただし、合格率だけをみて、言語聴覚士の国家試験のほうが難しいと断定はできません。試験科目や出題範囲が異なるためです。

作業療法士と言語聴覚士の給料

厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士の4職種をまとめて集計しています。そのため、作業療法士と言語聴覚士それぞれの平均年収を比較することはできません。

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、この統計をもとにした賃金(年収)として、作業療法士・言語聴覚士ともに443.6万円と掲載されています。これは両職種それぞれの平均年収ではなく、4職種をまとめた職種区分の数字です。

実際の給料は、勤務先や地域、経験年数、役職などによって異なります。給料を重視する場合は、希望する地域や職場の求人で、基本給や賞与、各種手当、昇給制度なども比べてみましょう。

作業療法士と言語聴覚士のダブルライセンスは可能?

作業療法士と言語聴覚士はそれぞれ独立した国家資格のため、両方の資格を取得できます。ただし、一方の資格を持っているだけで、もう一方の国家試験を受験できるわけではありません。

2つ目の資格についても、定められた養成課程を修了し、国家試験に合格する必要があります。

ダブルライセンスのメリット

両方の専門知識を学ぶことで、生活動作に加えて、言語・認知・摂食嚥下など、対象者の状態を複数の視点から捉えやすくなります。他職種の評価や支援への理解にもつながるでしょう。

また、作業療法士と言語聴覚士の両方の職種に応募できるため、就職や転職時に検討できる求人の幅が広がる可能性があります。

ダブルライセンスのデメリット

主なデメリットは、2つ目の資格取得にも時間と学費がかかることです。

作業療法士から言語聴覚士を目指す場合、必要な養成期間は学歴や履修科目によって異なります。4年制大学卒業者であれば、2年以上の指定養成課程が選択肢になります。

一方、言語聴覚士から作業療法士を目指す場合は、原則として指定された養成校で3年以上学ぶ必要があります。

ダブルライセンスを検討する際は、必要な期間や学費も含めて進路を考えましょう。

まとめ

作業療法士と言語聴覚士は、どちらもリハビリテーションの専門職ですが、中心となる支援領域が異なります。

生活動作や家事、仕事、趣味など幅広い生活行為に関わりたい場合は作業療法士、ことばや聞こえ、コミュニケーション、摂食嚥下に専門的に関わりたい場合は言語聴覚士が、進路を考える際のひとつの目安になります。

国家試験の合格率や養成期間だけで決めるのではなく、学校で学ぶ内容や実習、卒業後に働く場所も比べて、自分が関心を持てる分野を考えてみましょう。

監修:中谷ミホ(社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員、保育士)

鈴木 康峻

2008年に理学療法士免許取得。介護老人保健施設で入所・通所・訪問リハビリに携わりながら、介護認定調査や審査会、地域ケア会議などに関わっています。
現役の理学療法士だからこそ得られる一次情報を活かし、ライターとしても活動。医療・介護に関する記事を執筆しています。
保有資格:理学療法士、ケアマネジャー、福祉住環境コーディネーター2級など

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