
介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格に興味はあるものの、「取得したあとも研修が大変と聞いた」「更新が負担になりそう」と、資格取得をためらっている方もいるのではないでしょうか。
たしかに介護支援専門員には5年ごとに「更新研修」を受講する必要があり、時間や費用の負担の大きさが長年の課題とされてきました。そして2026年6月、この更新制の廃止を含む法改正が成立し、制度は大きな転換点を迎えています。
この記事では、現行の更新研修の仕組みと、更新制廃止の最新情報をあわせてわかりやすく解説します。これからケアマネジャーを目指す方や、更新を控えている方は、ぜひキャリアを考える際の参考にしてください(内容は2026年7月時点の情報にもとづいています)。
介護支援専門員の資格には有効期間がある
介護支援専門員として働くには、都道府県から交付される「介護支援専門員証」が必要です。この専門員証には5年間の有効期間が定められており、継続して働くためには、期間が満了する前に所定の法定研修を修了し、更新の手続きを行わなければなりません。この更新のために受ける研修が、いわゆる「更新研修」です。
介護福祉士や社会福祉士のような国家資格は、一度取得すれば生涯有効です。これに対して介護支援専門員は、「取りっぱなし」にできない資格として運用されてきました。介護保険制度は改正が多く、専門職として常に新しい知識を保つ必要がある、というのが更新制の趣旨です。
更新研修の種類・時間数・費用
次に、更新研修の具体的な中身を見ていきましょう。
研修の種類と時間数
更新研修は都道府県(または都道府県が指定した研修機関)が実施しており、実務経験の有無や更新の回数によって、受講する研修と時間数が異なります。目安は次のとおりです。
| 対象 | 時間数の目安 |
| 実務経験者(初回の更新) | 88時間(専門研修課程Ⅰ・Ⅱに相当) |
| 実務経験者(2回目以降の更新) | 32時間(専門研修課程Ⅱに相当) |
| 実務未経験者 | 54時間 |
| 主任介護支援専門員(主任更新研修) | 46時間 |
出典:厚生労働省「介護支援専門員の法定研修について」および各都道府県の研修実施要項をもとに作成(運用の詳細は都道府県により異なります)
受講にかかる期間
時間数を見てわかるとおり、更新研修は1日や2日で終わるものではありません。たとえば東京都の2025年度の実務経験者向け88時間研修(オンライン研修コース)は、8月上旬から11月下旬にかけて日程が組まれており、修了までに3か月ほどかかります。働きながら、数か月にわたって研修日程をやりくりすることになるのです。
受講料と補助制度
受講料も無視できません。都道府県によって差がありますが、テキスト代を除いておおむね2万〜5万円程度が必要です。
一方で、自治体によっては受講料の補助制度があるほか、職場が費用を負担してくれる場合もあります。実際、筆者が更新研修を受講したときも、職場が費用の半額を負担してくれました。同じような制度のある職場は少なくないと思われますので、受講前に勤務先の制度を確認してみることをおすすめします。
更新しないとどうなる?
有効期間内に更新研修を修了できなかった場合、介護支援専門員証は失効します。失効すると、ケアプランの作成をはじめとする介護支援専門員としての業務は行えません。資格がないまま業務を続ければ、本人だけでなく事業所も行政処分の対象になり得ます。
失効後にもう一度ケアマネジャーとして働きたい場合は、「再研修」(54時間)を受講して専門員証の再交付を受ける必要があります。更新研修よりもさらに負担が重くなるため、現行制度のもとでは、有効期間の管理がとても重要とされてきました。
【2026年最新】更新制の廃止が正式に決定
こうした更新制のあり方は、時間的・経済的負担の大きさから、ケアマネジャーの離職や人材不足の一因になっていると指摘されてきました。
国の審議会などでの議論を経て、2025年10月27日の社会保障審議会介護保険部会で更新制廃止の方針が大筋で了承され、2026年6月19日、更新制の廃止を盛り込んだ「社会福祉法等の一部を改正する法律」(介護保険法の改正を含む)が参議院本会議で可決・成立しました。
改正法の施行後は、介護支援専門員証の5年間の有効期間が廃止され、更新研修の受講を資格更新の要件とする仕組みもなくなります。一方で、ケアマネジャーとしての資質を維持・向上するための法定研修は、新たな仕組みとして継続されます。
施行は原則として2027年(令和9年)4月1日の予定ですが、規定によって施行時期が異なり、正確な施行日は今後政令で定められます。
廃止後も「研修が一切不要」になるわけではない
ここで注意したいのは、「更新がなくなる=研修が一切不要になる」わけではないという点です。
改正後も、資質の保持・向上のために都道府県が行う法定研修の受講は、介護支援専門員の義務として残ります。正当な理由なく受講しない場合は、都道府県知事から受講命令を受けることがあり、これに従わなければ、最長1年間の業務従事禁止となる可能性があります。
また、事業者にも、雇用するケアマネジャーが法定研修を受講できる機会を確保する義務が課されます。
そのうえで、研修そのものは、時間数の縮減や分割受講、オンデマンド化(好きなタイミングで動画などを視聴して学ぶ形式)によって、負担を分散できる方向で検討が進んでいます。研修の具体的な科目や時間数は、今後の省令などで決まる見込みです。
これから資格を目指す人・更新を控えている人へ
現在すでに介護支援専門員として働いている方や、これから更新を迎える方は、施行までは現行制度が続くことに注意してください。有効期間の満了が近い方は、従来どおり更新研修の受講と更新手続きが必要です。うっかり失効することのないよう、お住まいの都道府県の研修案内を確認しておきましょう。
一方、これから資格取得を目指す方にとって、今回の改正は明るい兆しといえるでしょう。取得後の負担として大きかった更新研修が見直され、受講しやすい形に変わろうとしています。
さらに、受験に必要な実務経験を現行の5年から3年に短縮し、対象となる国家資格の範囲を広げる方向の見直しも進められており、資格そのものに挑戦しやすくなる流れです。制度の詳細はこれから確定していくため、受験や研修の最新情報は、厚生労働省や都道府県の発表で確認することをおすすめします。
まとめ

介護支援専門員の更新研修は、5年ごとの資格更新に必要な法定研修で、時間や費用の両面で大きな負担となっていました。
かし、2026年6月に更新制の廃止を含む法改正が成立し、施行後は資格更新のための研修ではなく、専門職としての知識や能力を維持・向上するための法定研修へと制度が見直されます。
取得後の負担を理由にケアマネジャーへの挑戦を迷っていた方にとって、今回の制度改正は後押しとなるでしょう。ケアマネジャーは介護保険制度を支える重要な専門職であり、やりがいの大きな仕事です。本記事を参考に、資格取得を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。


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