サービス管理責任者は、略して「サビ管」とも呼ばれ、障害者福祉施設においてサービスの質の維持向上に務めるのが主な仕事です。
キャリアアップのためにサービス管理責任者を目指す上で、自分は資格要件を満たしているのか知りたい人も多いのではないでしょうか。
本記事では、サービス管理責任者の資格取得方法についてくわしく解説していきます。
サービス管理責任者の概要
サービス管理責任者とは、障害者総合支援法においてサービスの質の向上を図る観点から、事業所ごとに配置が義務付けられている職種です。
サービス管理責任者の配置基準は、以下のように定められています。
- 療養介護・生活支援・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援・・・利用者60人に対し1人
- グループホーム・・・利用者30人に対し1人
「利用者の支援過程の管理」「スタッフへの指導や助言」「関係機関との連携」を主たる業務とし、高いコミュニケーション能力と幅広い知識が求められます。
サービス管理責任者の資格取得方法
サービス管理責任者になるために、特定の資格は必要ありません。
所定の実務経験を積み、研修を修了することで要件を満たせます。以下で順番に見ていきましょう。
実務経験を積む
業務や保有資格によって、5〜8年の実務経験が必要です。概要を表にまとめました。
業務の範囲(障害者の保健・医療・福祉・就労・教育の分野における支援業務) | 業務内容 | 実務経験年数 |
相談支援業務 | 施設などにおいて相談支援業務に従事する者(障害者相談支援事業・児童相談所・地域包括支援センターなど) | 5年以上 |
保健医療機関において相談支援業務に従事しており、以下のいずれかに該当する者 (1)社会福祉主事任用資格を有する者(2)訪問介護員2級以上に相当する研修を修了した者(3)国家資格(※注1)を有する者(4)施設などにおける相談支援業務・就労支援における相談支援業務・特別支援教育における進路相談・教育相談の業務に従事した期間が1年以上ある者 | ||
就労支援に関する相談支援の業務に従事する者 | ||
特別支援教育における進路相談・教育相談の業務に従事する者 | ||
その他、これらの業務に準ずると都道府県知事が認めた業務に従事する者 | ||
直接支援業務 | 施設および医療機関等において介護業務に従事する者(障害児入所施設・老人福祉施設・保険薬局など) | 8年以上 |
障害者雇用事業所において就業支援の業務に従事する者 | ||
盲学校・聾学校・養護学校における職業教育の業務に従事する者 | ||
その他これらの業務に準ずると都道府県知事が認めた業務に従事する者 | ||
有資格者 | 上記「直接支援業務」に従事しており、次のいずれかに該当する者 (1)社会福祉主事任用資格を有する者 (2)訪問介護員2級以上に相当する研修を修了した者 (3)児童指導員任用資格者(4)保育士(5)精神障害者社会復帰施設指導員任用資格者 | 5年以上 |
国家資格所有者 | 上記「相談支援業務」および「直接支援業務」の実務経験が通算3年以上あり、かつ国家資格(※注1)による従事期間が通算して3年以上ある者 (※注1)該当する国家資格・・・医師・歯科医師・薬剤師・保健師・助産師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・視能訓練士・義肢装具士・歯科衛生士・言語聴覚士・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師・栄養士(管理栄養士を含む)・精神保健福祉士 |
(出典:兵庫県社会福祉事業団「サービス管理責任者の資格要件」)
また、実務経験の日数換算は以下のように定義されています。
1年以上の実務経験=事業に従事した期間が1年以上あり、かつ実際に事業に従事した日数が1年あたり180日以上あること。 |
自分の現状と照らし合わせて、実務経験の要件を把握しましょう。
基礎研修・OJT・実践研修を受ける
所定の実務経験を満たした後の基本的な流れは以下の通りです。
- 基礎研修受講(26時間)
- OJT2年以上(実践研修を受講するために必要な実務経験)
- 実践研修受講(14.5時間)
近年、サービス管理責任者の質を維持しつつ人員を確保する目的で、いくつかの緩和措置が設けられています。
まず、基礎研修に関しては要件を満たす予定日の2年前から受講可能です。
また、所定の実務経験を満たして基礎研修を修了した人が以下のいずれかの業務に従事する場合、OJT6か月以上で実践研修の受講が可能になります。
- サービス管理責任者などが配置されている事業所において、個別支援計画の原案の作成までの一連の業務を行う場合
- やむを得ない事由によりサービス管理責任者を欠いている事業所において、サービス管理責任者などとみなして従事し、個別支援計画作成の一連の業務を行う場合
このほか、実務経験の要件を満たし、人員の欠如時に既に基礎研修修了者である者をサービス管理責任者として配置する場合は、実践研修終了時までみなし配置が可能です。
上記の措置は、やむを得ない事由でサービス管理責任者を欠いている場合の例外的措置で、最長2年間適応されます。
実践研修を修了すると、サービス管理責任者として配属が可能になります。
資格取得後は5年に一度更新が必要
実践研修修了証の有効期間は5年間で、資格を維持するには更新研修の受講が必要です。
以下の要件のいずれかを満たせば、更新研修を受けられます。
- 過去5年以内に2年以上サービス管理責任者としての実務経験がある
- 現行でサービス管理責任者の業務に従事している
実践研修終了後、一定期間サービス管理責任者の業務に従事した実績がないと、更新研修を受けられないため注意しましょう。
まとめ
サービス管理責任者になるには、所定の実務経験を満たした上で、研修を修了することが必要です。
実務経験の期間は人によって5〜8年と長期に渡りますが、研修に関しては緩和措置が設けられ、資格取得のハードルは下がりつつあります。
障害者福祉の分野で責任とやりがいのある仕事をしたいと考えている人は、ぜひサービス管理責任者を目指してみてはいかがでしょうか。
監修者:中谷ミホ
介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士、保育士
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