認定子ども園とは?保育所・幼稚園との違いを比較表で解説

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児童福祉関連の職場への就職を検討するなかで、「認定こども園ってどんなところ?」という疑問が湧く方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、認定こども園の特徴や保育所、幼稚園との違いについて解説します。

仕事内容や給料についても紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

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認定こども園とは

認定こども園とは、幼稚園と保育所の両方の特徴をあわせ持つ施設のことです。

保護者が働いているか否かにかかわらず入園可能となっており、0歳〜就学前の子どもに必要な教育と保育を実施します。

地域におけるすべての子育て家庭を対象に、子育てに関する相談活動や親子の集いの場、子どもの一時預かりなどを提供する役割も担っています。

認定こども園が創設された背景

認定こども園ができた主な理由は「共働き世帯の増加と、幼稚園へ入園する児童の減少」です。

出産後も就労を希望する女性が増えたことで、保育所の待機児童問題が全国的な課題となっていることは、既にご存知の方も多いでしょう。

一方で働く親にとって保育時間が足りないことと、専業主婦が減っている背景から、幼稚園の入園希望者は減少傾向にあります。

また、保育所は原則として就労している保護者の子どもが対象となるため、育休や離職などにより退園する必要があるのも課題のひとつでした。

従来の保育所や幼稚園を認定こども園に変えることで、子どもの受け入れ幅を広げ、上記の課題解決をはかる狙いがあります。

認定こども園と保育所・幼稚園の違い

各施設の違いを表にまとめました。

認定こども園保育所幼稚園
施設総数10,483か所(令和6年)30,687か所(令和6年)8,530か所(令和6年)
管轄子ども家庭庁子ども家庭庁文部科学省
根拠法令就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律にもとづく施設児童福祉法にもとづく児童福祉施設学校教育法にもとづく教育施設
目的就学前の子どもに対し、教育と保育を総合的に提供すること保育の必要な子どもの保育を行い、心身の発達を促すこと幼児を教育し、適切な環境を与えて心身の発達を促すこと
対象【1号認定】(注①)満3歳から小学校就学前までの幼児
【2・3号認定】(注②)保護者の就労や病気などの理由により、保育を必要とする0歳~就学前までの乳幼児
【2・3号認定】保護者の就労や病気などの理由により、保育を必要とする0歳~就学前までの乳幼児【1号認定】満3歳から小学校就学前までの幼児
保育時間【1号認定】教育標準時間:4時間
【2・3号認定】保育標準時間:11時間保育短時間:8時間
保育標準時間:11時間保育短時間:8時間教育標準時間:4時間
開所日<幼保連携型・保育所型>土曜日の開所が原則(弾力運用可)
<その他の認定こども園>地域の実情に応じて設定
日曜・祝日を除く年間約300日年間39週以上
職員資格<幼保連携型>保育教諭(注③)※ただし、2030年3月末まで特例制度あり
<その他の認定こども園>・満3歳以上:保育士・幼稚園教諭の併有が望ましいが、いずれかでも可・満3歳未満:保育士資格
保育士資格幼稚園教諭免許状
(注①)1号認定・・・満3歳以上で、幼稚園及び認定こども園(教育部門)を利用する           幼児(注②)2号認定・・・満3歳以上で保育を必要とし、保育所及び認定こども園(保育部           門)を利用する幼児    3号認定・・・満3歳未満で保育を必要とし、保育所及び認定こども園(保育部           門)を利用する乳幼児(注③)保育教諭・・・認定こども園の創設にともない誕生した職種で、保育士資格と幼           稚園教諭免許状の両方を有している者

表で比較してみても、認定こども園は保育所と幼稚園の両方の機能を備えていることがわかります。

ただし、各施設の基準は園によって異なる場合もあるため、就職を検討する際は事前に詳細を確認しておきましょう。

認定こども園の4つの種類

認定こども園は、移行前の施設の形態や地域のニーズなどに応じて、以下の4つの種類があります。

1.幼保連携型

「認定こども園を新設する場合」または「保育所や幼稚園が認定こども園として全面リニューアルする場合」は、幼保連携型認定こども園になります。

最初から保育所と幼稚園の両方の機能を備えており、共働き世帯の子どもも教育を受けられるのが特徴です。

「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」にもとづいた保育と教育を行います。

2.幼稚園型

従来の幼稚園に保育所的な機能をプラスした施設が、幼稚園型認定こども園です。

保育時間が8〜11時間と、通常の幼稚園より長くなったことで共働き世帯も利用しやすくなっています。

一方で、土曜日や長期休暇の預かりを実施しない園や、保護者が参加する行事の多い園もあり、良くも悪くも幼稚園的な側面が強いのも特徴です。

基本的には幼稚園の位置づけとなり、「幼稚園教育要領」にもとづいた教育を行います。

3.保育所型

従来の保育所に、幼稚園的な機能をプラスした施設が保育所型認定こども園です。

原則土曜日も開所しているのが、幼稚園型との大きな違いだと言えるでしょう。

基本的には保育所の位置づけとなり、「保育所保育指針」にもとづいた保育を行いながら、教育も実施します。

4.地方裁量型

待機児童の解消を目的に、自治体の裁量で認可外の保育所や幼稚園を認定こども園と定めたものが、地方裁量型認定こども園です。

認可保育施設に入れなかった共働き世帯の保育の受け皿となる一方で、認可保育施設と比較して保育の内容や人員体制が整っていない場合もあります。

また、全国の認定こども園の総数10,483か所のうち、地方裁量型は87か所と非常に少ないのが現状です。

認定こども園で働くメリット・デメリット

認定こども園への就職を検討している方は、働くメリットとデメリットも事前に把握しておきましょう。

認定こども園で働くメリット

保育と教育という、子どもと関わるうえで重要な2つのスキルを身につけられる点が、認定こども園で働く大きなメリットです。

行事や習い事に力を入れている園も多く、一般的な保育所にはない経験を積めることもあるでしょう。

また、2030年3月末までの特例制度により、保育士資格と幼稚園教諭免許状のいずれかの資格を持ち、要件を満たせば通常より少ない負担でもうひとつの資格を取得可能です。

働きながら両方の資格を取得することで、将来のキャリアアップや転職にも有利になると期待できます。

認定こども園で働くデメリット

今まで保育所で働いていた方にとっては、普段の保育に教育要素が加わる分、負担が増すと感じる場合もあるかもしれません。

幼稚園から認定こども園に移行した場合、開所日時の増加により働き方の変更を余儀なくされるケースもあるでしょう。

また、保育士と幼稚園教諭の両方の資格を持っていても手当てが支給される園は少なく、基本的な待遇は保育所と変わらない傾向にあります。

まとめ

認定こども園は、待機児童問題の解消と子育て世帯の多様なニーズに応えるために創設された施設です。

働くうえでは2つの資格の取得を推奨されており、大変な面もありますが、教育と保育の両面から子どもの成長をサポートできるやりがいもあります。

児童福祉分野での就職を検討している方は、ぜひ認定こども園も候補に入れてみてください。

監修者:中谷ミホ(社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員、保育士)

小原 宏美

大学で音楽療法を学び、卒業後は児童養護施設、高齢者通所介護施設にて勤務。生活支援と並行して、音楽療法による利用者のQOL向上に取り組む。現在はフリーライターとして、子育てや美容などに関わる記事を執筆している。保有資格:保育士・介護福祉士・日本音楽療法学会認定音楽療法士(補)

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