
介護職への就職や転職を考える中で、「認知症の方の支援に携わりたい」と感じている方もいるのではないでしょうか?
今回は、認知症の方に特化したデイサービス「認知症対応型通所介護」の特徴や仕事内容、働くために必要な資格についてご紹介します。
一般的なデイサービスとの違いも解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
認知症対応型通所介護とは
認知症対応型通所介護とは、認知症の方のみを対象とした通所型の介護サービスのことで、認知症デイサービスとも呼ばれています。
利用者の心身の機能を維持するとともに、ご家族の介護疲れや孤独感を緩和することがサービスの主な目的です。
認知症の専門知識を有するスタッフが在籍し、利用者の送迎や食事・入浴・排せつなどの介護、レクリエーションを提供します。
施設の種類
認知症対応型通所介護には、以下の3種類があります。
| 種類 | 概要 |
| 単独型 | 認知症対応型通所介護の事業所として、単独で運営している施設。民家を改装して利用する施設も多い。 |
| 併設型 | 特別養護老人ホームや老人保健施設、病院などに併設されている施設。 |
| 共用型 | グループホーム(認知症対応型共同生活介護)のリビングや食堂など、施設の共有スペースを活用してサービスを提供する施設。施設の日常生活に近い環境でケアを受けられる。 |
全国の認知症対応型通所介護のうち、約半数が単独型です。
配置基準
認知症対応型通所介護の配置基準は、「単独型・併設型」と「共用型」で異なります。
まずは「単独型・併設型」について見ていきましょう。
| 職種 | 配置基準 | 資格要件 |
| 管理者 | 常勤専従で1人(所定の条件を満たせば兼務可) | 厚生労働大臣が定める研修を修了している者。 |
| 生活相談員 | 専従で、提供日ごとの勤務延時間数をサービス提供時間数で割った数が1人以上 | ・社会福祉主事・社会福祉士・精神保健福祉士 または上記と同等以上の能力を有すると認められる者。 |
| 機能訓練指導員 | 1人以上 | ・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師又はきゅう師 ※「はり師又はきゅう師」に関しては、「理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師」の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で、6か月以上機能訓練指導に従事した経験を有する者に限る。 |
| 介護職員看護職員 | 合計2人以上(専従1人以上+サービス提供時間に応じて算出された人数) | ・看護職員:看護師または准看護師・介護職員:資格要件なし |
続いて、共用型の配置基準は以下の通りです。
- 管理者・・・厚生労働省が定める研修を修了している者を常勤専従で1人配置。
- 生活相談員、機能訓練指導員、介護職員または看護職員・・・各事業所ごとに規定する従業員の人数
介護職員に資格要件はありませんが、2024年4月より「認知症介護基礎研修」の受講が義務化されており、入職後1年以内の取得が必須となっています。
くわしくはこちらの記事をご覧ください。

利用者の要件
認知症対応型通所介護を利用するには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
- 医師による認知症の診断を受けている
- 要介護1以上の認定を受けている
- 施設がある市区町村に住んでいる
認知症対応型通所介護は、地域密着型サービスに該当するため、原則として同じ市区町村に住む方のみが利用可能です。
なお、要支援で認知症の症状が見られる方は「介護予防認知症対応型通所介護」が対象となります。
一般的なデイサービスとの違い
認知症対応型通所介護と一般的な通所介護(通常規模のデイサービス)には、利用者の要件や定員などさまざまな違いがあります。概要を表にまとめました。
| 認知症対応型通所介護 | 通常規模のデイサービス | |
| 利用対象者 | 要介護1以上で認知症の診断を受けている方 | 要介護・要支援認定を受けた方全般 |
| 定員 | 12名以下(共用型は3名以下) | 1か月当たりの平均利用延人員数が750名以内 |
| ケアの専門性 | 認知症ケアに特化 | 幅広いケアに対応 |
| サービス分類 | 地域密着型サービス | 居宅サービス |
| 利用エリア | 施設と同じ市区町村のみ | 施設が送迎可能なら、居住市区町村を問わない |
認知症対応型通所介護は定員が12名以下と、一般的なデイサービスよりも認知症の方が馴染みやすい環境に設定されています。
1日数十名が利用するデイサービスでは、強い不安を感じていた認知症の方が、認知症デイサービスでは穏やかに過ごせたという事例も少なくありません。
認知症の専門知識を有するスタッフが常駐しているため、利用者やご家族に対して、よりきめ細やかな対応や情報提供が可能です。
地域密着型サービスに分類されており、利用者が住み慣れた地域との関係を維持しながら支援を受けられます。
認知症対応型通所介護の仕事内容
認知症対応型通所介護の仕事内容は、基本的には一般的なデイサービスと同様で、基本的に夜勤はありません。
主な仕事内容は以下の通りです。
- 利用者の送迎
- 食事、入浴、排せつ、移乗などの身体介助
- レクリエーションの企画・実施
- 機能訓練の実施
- 記録の作成
- 施設内の掃除、環境整備
- ご家族の相談対応
- 家族会や地域交流会の企画、実施
一般的なデイサービスと異なるのは、認知症の症状に応じた個別対応が求められることです。
例えば、利用者が「仕事に行ってくる」と言って施設を出ようとした時に、利用者の不安を和らげ、納得して過ごしてもらえる対応力が不可欠です。
また、利用者のご家族同士が交流する家族会を定期的に開催し、ご家族が孤独にならない取り組みを行う施設もあります。
地域の保育園との交流やゴミ拾いなど、地域との交流活動も活発に行われています。
認知症対応型通所介護の介護職員に求められる資格
前述の通り、認知症対応型通所介護の介護職員に資格要件はありません。
しかし認知症ケアに特化している性質上、以下にあげる介護や認知症に関する資格を持っていると、就職や転職の際に有利に働くでしょう。
| 介護に関する主な資格 | ・介護職員初任者研修・介護福祉士実務者研修・介護福祉士 |
| 認知症に関する主な資格 | ・認知症介護実践リーダー研修・認知症ケア専門士 |
各資格の詳細が気になる方は、こちらもぜひご覧ください。
実務者研修と初任者研修の違い

介護福祉士になるには

認知症介護実践リーダー研修とは

認知症ケア専門士とは

認知症対応型通所介護で働くのが向いてる人
認知症対応型通所介護での仕事に向いている人の特徴をまとめました。
- 認知症ケアに専門的に携わりたい人
- コミュニケーションを大切にできる人
- 夜勤なしで働きたい人
認知症の方のみが利用する施設のため、認知症ケアに関する知識や経験を専門的に深めたい方に最適です。
認知症の方と信頼関係を築くには、言葉だけでなく表情や雰囲気から利用者の心情を読み取るコミュニケーションスキルが必要です。
ご家族や地域住民など、幅広い世代の方と利用者との関わりを支援する役割も担うため、人と関わるのが好きな方は向いていると言えるでしょう。
基本的に日勤のみで夜勤がないため、育児や介護との両立を希望する方や、体力面への不安がある方にとって働きやすい環境です。
まとめ

認知症対応型通所介護は、認知症の方に特化した少人数制のデイサービスです。
定員12名以下という家庭的な環境で、専門性の高い認知症ケアを実践できる施設として近年さらにニーズが高まっています。
認知症ケアに関心のある方は、認知症ケア専門士をはじめとした資格取得も視野に入れながら、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
監修:中谷ミホ(社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員、保育士)


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