
「介護の仕事は好きだけど、職場の人間関係が…」そんな悩みを抱える方も多いのではないしょうか?
介護の現場では、利用者さんとの温かい触れ合いがある一方で、スタッフ同士の人間関係にストレスを感じるケースも多いのが実情です。特に未経験や経験の浅い方にとっては、人間関係の良し悪しが仕事の続けやすさを大きく左右します。
この記事では、「なぜ介護職は人間関係のトラブルが起きやすいのか?」という背景を解説し、もし人間関係に悩んだときにどう対応すればいいのか、実例を交えてご紹介します。介護職として安心して働き続けるためのヒントをぜひ見つけてください。
介護職で人間関係のトラブルが起きやすいのはなぜ?
介護の職場で人間関係のトラブルが起こる背景には、いくつかの特徴的な要因があります。
1.24時間365日、閉鎖された空間での濃密な関わり
限られた空間で特定のメンバーと長時間一緒に働くシフト制勤務では、一度歯車が狂うと逃げ場のないストレスフルな環境になりやすく、些細な価値観の違いやコミュニケーション不足が大きな溝を生むことがあります。
2.感情労働としての側面とストレス
介護職は利用者や家族のさまざまな感情に寄り添う「感情労働」であり、認知症ケアや看取りなど精神的な強さを求められる場面が多くあります。同僚からの共感やサポートが得られないと、ストレスが蓄積し人間関係の悪化につながります。
3.慢性的な人手不足と業務の多忙さ
多くの介護現場では人手不足により一人あたりの業務負担が大きく、常に時間に追われる状況です。心の余裕がなくなると、言葉遣いがきつくなったり、新人への指導が丁寧に行き届かなくなったりすることがあります。
4.「介護観」の違いから生まれる衝突
利用者の自立支援の範囲やケア方法について、個々の経験や学びによって「介護観」が異なります。この価値観の違いが時に意見の衝突を生み、人間関係の摩擦につながることがあります。
5.独自のルールや「ベテラン職員」の存在
歴史の長い施設や人の入れ替わりが少ない職場では、独自のルールや暗黙の了解といった「職場文化」が強く根付いていることがあります。
経験年数の長い特定の職員が大きな影響力を持ち、新しい意見が通りにくくなることも少なくありません。
人間関係が悪い職場「あるある」実例集
実際に「人間関係が悪い」とされる職場では、どんなことが起きているのでしょうか?3つのケースを紹介します。
ケース1:陰口と派閥が横行
「昼休みに職員同士で集まるグループができていて、気に入らない職員の悪口大会になっていた」という声。中には、陰口を言われたくなくて無理に同調してしまう人もいます。
ケース2:新人いじめ・無視
「新人にはあえて挨拶を返さない」「質問しても冷たくあしらわれる」「忙しそうなふりをして誰も教えてくれない」など、新人に対する当たりの強さが目立つ職場も存在します。こうした場に長くいれば、仕事以前に心が折れてしまいかねません。
ケース3:指導が感情的・理不尽
「利用者の前で叱責される」「失敗すると怒鳴られる」など、感情をぶつけるような指導をされるケースも。本来は成長を促すはずの指導が、プレッシャーや恐怖の原因になっている職場もあります。
転職前にできる!人間関係トラブルを避けるチェックポイント
では、こうした職場に入ってしまわないために、転職前にできることはあるのでしょうか?
実は、事前に人間関係の雰囲気を見極めるヒントは意外とたくさんあります。
1.面接での「逆質問」を活用する
面接の最後に「何か質問はありますか?」と聞かれたときはチャンスです。以下のような質問をしてみましょう。
- 「チームワークで大切にしていることは何ですか?」
- 「新人教育はどのように行われていますか?」
- 「働いている職員の年齢層や雰囲気について教えてください」
回答があいまいだったり、ネガティブな部分をごまかすような様子があれば、慎重に判断した方が良いかもしれません。
2. 求人サイト・口コミサイトを活用する
最近は、介護職専用の口コミサイトも充実しています。実際に働いたことがある人の投稿から、職場の雰囲気や人間関係のリアルな声を知ることができます。
ただし、すべてを鵜呑みにせず、複数の情報を比較して総合的に判断することが大切です。
3. 可能なら職場見学を申し込む
見学は、実際に働く人の様子や、職員同士の距離感を見る絶好の機会です。
「きちんと挨拶ができているか」「スタッフ同士のやりとりに笑顔があるか」「指示の出し方が乱暴でないか」など、細かいポイントに注目してみてください。
職場の人間関係が悪いときの対処法
1. まずは冷静に状況を見極めよう
「思っていた職場と違う…」と感じたら、感情的にならず状況を整理しましょう。特定の人との関係なのか、職場全体の雰囲気なのか。一時的な問題か、根本的な問題かを見極めることが大切です。問題の全体像を把握することで、効果的な対処法が見えてきます。
2. 信頼できる人に相談する
一人で悩みを抱え込むと、状況は悪化しがちです。話しやすい同期や頼りになる先輩、信頼できる上司がいれば、思い切って相談してみましょう。
話すことで気持ちが整理されるだけでなく、思いがけないアドバイスや助けが得られるかもしれません。
ただし、相談相手は慎重に選びましょう。噂話が好きな人や特定のグループに偏った人に相談すると、かえって状況が悪くなることもあります。
3. 記録を残し、異動も視野に入れる
無視や暴言、度を超えた指導など、明らかに不適切な対応を受けている場合は、日付・発言内容・状況などを記録しておきましょう。後で人事や労務担当に相談する際の客観的な証拠になります。
また、同じ会社内に複数の部署や事業所がある場合は、異動を申し出ることも検討しましょう。環境が変わるだけで人間関係のストレスが軽減されることは少なくありません。
4. 「辞める」選択肢も前向きに考える
いろいろ試しても状況が改善しない、または心身に不調が出てきたなら、「辞める」という選択肢も真剣に考えましょう。「石の上にも三年」とは言いますが、無理を続けて自分を壊してしまっては本末転倒です。
転職は決して逃げではなく、自分に合った環境で安心して働くための前向きな一歩です。自分に合う職場は必ず見つかります。頑張りすぎず、柔軟に自分の道を選んでいきましょう。

まとめ
介護の現場は、やりがいのある素晴らしい仕事です。けれども、どんなにやる気があったとしても、人間関係のストレスで体調を崩したり、気力を失ってしまう方を筆者も多く見てきました。
大切なのは「どんな職場を選ぶか」、そして「そこで無理をしすぎないこと」です。もし職場が合わないと感じたら、自分を責めるのではなく、「自分に合った職場が他にきっとある」と前向きに考えることが大切です。
また、人間関係の問題は、特定の誰かが悪いから起こるものではありません。職場の体制や文化そのものが大きく影響していることもあります。一人で抱え込もうとせず、相談できる人を見つけたり、転職という選択肢を持っておいたりすることも、心の支えになるはずです。
転職には勇気が必要ですが、正しい情報と適切な視点を持てば、自分らしく働ける職場に出会える可能性は十分にあります。
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