
介護施設の夜勤は、施設形態によって人員配置や業務内容が大きく異なります。
「グループホームの夜勤はきつい」という声も聞かれますが、他施設との違いを知ることでその理由や実態が見えてきます。
本記事では、特養や老健、有料老人ホームなどの夜勤と比較しながら、グループホームならではの特徴や大変さを乗り越えるコツ、どんな人が向いているのかを詳しく解説します。
グループホームの夜勤の基本
まずは、グループホームの夜勤の基本的な勤務形態を確認しておきましょう。
1ユニット5〜9名・夜勤は1名以上の配置
グループホームは、認知症の高齢者が少人数で共同生活を送る施設です。1ユニットの利用定員は5〜9名で、多くの事業所では2ユニットが併設されています。
夜勤の人員配置は、1ユニットごとに1名以上と定められています。つまり、最大9名の利用者を1人で見守るのが基本です。
16時間夜勤・2交代制が一般的
多くの事業所では、2交代制による16時間夜勤を採用しています。
- 出勤:夕方16〜17時頃
- 退勤:翌朝9〜10時頃
- 1か月の夜勤回数:4〜5回が目安
労働基準法では1日の労働時間は8時間以内と定められていますが、変形労働時間制を導入している事業所では16時間夜勤も可能です。
他施設の夜勤と比べたグループホームの特徴
グループホームの夜勤は、他の介護施設とどう違うのでしょうか。代表的な4つの施設形態と比較してみましょう。
| 項目 | グループホーム | 特養(ユニット型) | 老健 | 介護付き有料老人ホーム |
| 夜勤者の配置基準 | 1ユニット(5〜9名)に1名以上 | 2ユニットごとに1名以上 | 利用者数に応じて2名以上が基本 | 利用者数に応じて1名以上 |
| 夜勤の看護師配置 | なし(オンコール対応) | 施設による | 配置されている施設が多い | 施設による |
| 利用者の特性 | 全員が認知症の方 | 要介護3以上が中心 | リハビリ・在宅復帰目的 | 自立〜要介護まで幅広い |
| 夜勤業務の特徴 | 介護+家事援助 | 介護中心 | 介護+医療連携 | 施設によって差が大きい |
参考:厚生労働省「厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準」
上記から、グループホームの夜勤には、「1人体制」「看護師不在」「利用者全員が認知症の方」「家事援助あり」の4つの特徴があることがわかります。
他施設と比べて「きつい」と感じやすい4つのポイント
1.1人体制で対応する
特養や老健の夜勤は2人以上の体制が基本ですが、グループホームは1ユニット1名が基本です。判断や記録、コール対応をすべて1人でこなす必要があるため、責任の重さを感じる人もいます。
ただし、入職後すぐに1人夜勤に入ることはほとんどありません。日勤で業務に慣れたうえで、先輩職員と一緒に夜勤を経験し、段階的に独り立ちする流れが一般的です。
2.夜勤時間帯に看護師が不在
老健では夜勤に看護師を配置している施設が多く、医療的な判断を看護師に委ねられます。一方、グループホームには看護師の配置義務がなく、夜間はオンコールでの連絡対応となるのが基本です。
利用者の体調変化や急変時は、まず介護職員が状態を観察し、看護師や管理者に電話で連絡して指示を仰ぎます。最初の判断を担うことに、不安を感じる人もいるでしょう。
3.家事援助の比重が大きい
グループホームの夜勤には、清掃・洗濯・朝食調理などの家事援助が含まれます。特養や老健では給食委託や調理員が朝食を準備するのに対し、グループホームでは夜勤者が朝食調理を担うことが多いのが特徴です。
朝食作りは、施設によって対応が大きく異なります。実際に現場で勤務する介護職員からは、次のような声が聞かれます。
- 冷蔵庫にある食材を使って、夜勤者が朝食のメニューを考えて調理する施設がある
- 冷凍食品の解凍や湯煎で対応する施設もある
- 「味噌汁は必ず、副食3品」と献立が決まっている施設もある
夜勤者がメニューを考える施設では「朝食作りが負担」という声もあがっています。料理が好きな人にとってはやりがいになる業務ですが、苦手な人にとっては大きなプレッシャーになることもあります。応募前に、調理方法や品数の決まりを確認しておくと安心です。
4.利用者全員が認知症の方
グループホームは、利用者全員が認知症の診断を受けている施設です。夜間は環境の変化や疲労から、帰宅願望や夜間せん妄、不穏が起こりやすくなります。
認知症の方は、特養や有料老人ホームにも入居されていますが、利用者全員に対して認知症ケアの専門的な対応が常時求められるのは、グループホームならではの特徴と言えるでしょう。
他施設と比べたグループホーム夜勤のメリット
見守る利用者数が少ない
特養(従来型)の夜勤者は20〜25名を1人で担当することもありますが、グループホームの夜勤者が見守るのは1ユニット5〜9名です。一人ひとりに目が届きやすく、丁寧なケアを実践できます。
1人体制ゆえの自由度
1ユニットを1人で担当する体制のため、上司や同僚の目を気にせず働けるため、人間関係に気を使うことを負担に感じる人にとってはメリットです。
利用者と深い関係を築ける
定員が少なく、長期入居の利用者が多いため、生活歴や好みを理解したうえでの個別ケアを実践しやすい環境です。
落ち着いた家庭的な環境
施設というより「家」に近い雰囲気のなかで、生活支援を中心としたケアを実践できます。
他施設からの転職で感じやすいギャップ
他施設からグループホームに転職する場合、これまでの経験との違いを意識しておくと、入職後のギャップを減らせます。
特養出身者
夜勤の人数は減りますが、見守る利用者数も減ります。一人ひとりに向き合う時間が増える反面、家事援助は新しい業務になるため慣れていく必要があります。
老健出身者
医療連携の頻度は減りますが、夜間の初期対応や判断に慣れる必要があります。看護師がそばにいない環境での判断力が問われるでしょう。
介護付き有料老人ホーム出身者
施設によって介護度や対応内容に差があるため一概には言えませんが、グループホーム特有の認知症ケアと家事援助の比重に慣れていくことが必要です。
デイサービス・訪問介護出身者
そもそも夜勤自体が初めてになるため、まずは日勤で業務に慣れ、段階的に夜勤に入ることが大切です。
グループホームの夜勤に向いている人
臨機応変な対応ができる人
利用者の状況は日によって異なります。マニュアルに沿いながらも、状況に応じて柔軟に判断・行動できる人に向いています。
認知症ケアに関心がある人
利用者全員が認知症であるため、認知症ケアに興味があり、学び続ける姿勢のある人にとってはやりがいの大きい職場です。
落ち着いた環境で働きたい人
少人数で家庭的な雰囲気のなかで、利用者一人ひとりとじっくり向き合いたい方には適した環境です。
家事が苦にならない人
清掃・洗濯・朝食調理などの家事援助が業務に含まれるため、普段から家事を負担に感じない方であれば強みとして活かせます。とくに献立を一から考える施設では、調理が得意な人ほど力を発揮しやすいでしょう。
自分に合うグループホームを見極めるチェックポイント
応募前や入職前に、次のポイントを確認しておくとミスマッチを防げます。
- 夜勤の教育体制:何回程度の同行夜勤を経て独り立ちするか
- 緊急時の連絡体制:オンコールの連絡先と判断基準が明確か
- 朝食調理の方法:献立があるか、食材から考えるか、品数の決まりはあるか
- 夜勤手当の金額:1回あたりいくら支給されるか
- 夜勤回数の目安:月に何回入るか
求人情報や面接時の質問、施設見学を通じて、具体的に確認していきましょう。
まとめ

グループホームの夜勤は、1ユニット1名体制・看護師不在・全員認知症・家事援助ありという特徴があり、他施設の夜勤と比べて独特の難しさがあります。一方で、見守る利用者数が少なく、自分のペースで働けることや、利用者と深い関係を築けることなど魅力的な面も多くあります。
他施設からの転職を考えている方は、これまでの経験との違いをよく理解したうえで、自分に合った職場かどうかを見極めることが大切です。今回ご紹介した内容を参考に、自分にあった働き方ができる環境を見つけていきましょう。


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