
社会福祉士の国家試験を受けると決めたものの、「合格率が低いと聞いて不安」「出題範囲が広すぎて、何から手をつければいいかわからない」と感じている方は多いのではないでしょうか。
たしかに社会福祉士国家試験は難易度の高い試験ですが、特徴を正しく理解し、計画的に対策すれば十分に合格を目指せます。この記事では、最新の合格率や難易度の理由、そして効率的な勉強法までをわかりやすく解説します。
社会福祉士国家試験の基本をおさえよう
まずは、試験そのものの全体像を確認しておきましょう。
社会福祉士国家試験は、社会福祉士の資格を取得するために必要な国家試験で、年1回、例年2月上旬に実施されます。第38回試験は2026年(令和8年)2月1日(日)に行われました。
試験は全19科目から出題され、これらが6つの「科目群」に分類されています。問題数は計129問で、配点は1問1点の129点満点です。出題形式は、5つの選択肢から1つを選ぶ五肢択一式を基本に、複数を選ぶ多肢選択式が組み合わされています。
合格するには、次の2つの条件を両方満たす必要があります。総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上を得点すること、そして全6科目群すべてで得点があることです。この「全科目群で得点する」という条件が、後ほど触れる難易度の高さにつながっています。
なお、社会福祉士国家試験は近年カリキュラムが見直されました。第37回から新カリキュラムに移行し、出題数が従来の150問から129問に減少しています。第38回も引き続き新基準で実施されており、これから受験する方は、最新の出題基準に沿って準備することが大切です。
合格率の推移と難易度
受験を検討するうえで、いちばん気になるのが合格率ではないでしょうか。
最新(第38回)の合格率
2026年3月3日に発表された第38回社会福祉士国家試験は、受験者数2万5,430人、合格者数1万5,438人、合格率60.7%でした。これは前回(第37回)の合格率を上回り、過去最高を更新した数字です。
近年は上昇傾向にある
社会福祉士国家試験の合格率は、ここ数年で大きく変化しています。直近の推移を見てみましょう。
| 回(実施年) | 合格率 |
| 第33回(2021年) | 29.3% |
| 第34回(2022年) | 31.1% |
| 第35回(2023年) | 44.2% |
| 第36回(2024年) | 58.1% |
| 第37回(2025年) | 56.3% |
| 第38回(2026年) | 60.7% |
出典:公益財団法人社会福祉振興・試験センター/厚生労働省「社会福祉士国家試験合格発表」(各年)をもとに作成
第34回が31.1%、第33回が29.3%と、かつては30%前後で推移する年が多くありました。近年の数字だけを見ると「合格しやすくなった」と感じるかもしれませんが、長期的に見ると、社会福祉士は決してやさしい試験ではありません。実際、第1回からの累計では、受験者総数約110万人に対し合格者は約34万人、長期的な合格率は30.9%にとどまっています。「3割の壁」と呼ばれてきたのは、この歴史的な水準が背景にあります。
ほかの福祉系資格との比較
ほかの国家資格と比べると、難易度の傾向がよりはっきりします。介護福祉士試験の合格率は70〜80%程度、精神保健福祉士は60〜70%程度です。介護福祉士は介護分野、精神保健福祉士は精神疾患に関わる分野に出題が絞られるのに対し、社会福祉士は福祉関係全般が出題範囲となるため、試験対策の難易度が高い傾向にあります。
なぜ「難しい」と言われるのか
合格率が上がってきたとはいえ、社会福祉士国家試験が難関とされるのには理由があります。代表的なポイントを整理しておきましょう。
1つ目は、出題範囲の広さです。医学概論や心理学、社会保障、権利擁護、障害者福祉など、扱う分野が多岐にわたります。福祉の周辺領域まで幅広く問われるため、特定の分野だけを深掘りする勉強では対応しきれません。
2つ目は、合格基準の厳しさです。前述のとおり、合格には全6科目群すべてで得点する必要があります。総得点が合格ラインを超えていても、6科目群のうち0点の科目群がひとつでもあると不合格になります。つまり、得意分野で高得点を取っても、苦手分野を完全に捨てることはできません。
3つ目は、問題の質の変化です。近年は単純な暗記だけでは解けない、事例への応用力や正確な知識を問う問題が増える傾向にあります。問題文の言い回しが複雑になったり、答えを2つ選ぶ形式が増えたりと、より丁寧な読み取りと幅広い理解が求められるようになっています。
こうした特徴があるからこそ、やみくもに勉強するのではなく、試験の性質に合った対策を立てることが合格への近道になります。
効率的な勉強法
ここからは、限られた時間で合格に近づくための勉強法を紹介します。
過去問演習を学習の軸にする
社会福祉士国家試験の対策で、最も重要といえるのが過去問演習です。過去問を繰り返し解くことで、出題の傾向や自分の苦手分野が見えてきます。間違えた問題は解説をしっかり読み込み、自力で正解できるようになるまで繰り返すことで、知識が定着していきます。本番を想定して時間を計りながら解き、解答のペース配分をつかんでおくことも大切です。
「捨て科目」を作らない
合格基準の特性上、苦手科目を放置するのは危険です。全科目群で得点する必要があるため、「この分野は捨てて他で稼ぐ」という戦略が通用しません。得意分野を伸ばすことよりも、まったく手をつけていない分野をなくすことを優先しましょう。広く浅くでもよいので、すべての科目群に最低限の対策をしておくことが、思わぬ取りこぼしを防ぎます。
試験日から逆算してスケジュールを組む
出題範囲が広いぶん、直前の詰め込みでは間に合いません。試験日から逆算し、「いつまでに何を終えるか」を決めて学習を進めましょう。1日に確保できる勉強時間は人それぞれですから、自分の生活に無理なく組み込める計画を立てることが、継続のコツです。
スキマ時間にはアプリを活用する
まとまった学習時間が取りにくい方には、国家試験対策アプリの活用がおすすめです。スマートフォンで移動時間や空き時間に勉強でき、間違えた問題だけを絞り込んで繰り返せるほか、ほかの受験者の正答率がわかる機能を備えたものもあります。問題集と組み合わせることで、机に向かえない時間も学習時間に充てられます。
模試で本番の感覚をつかむ
可能であれば、模擬試験も受けておきましょう。本番と同じ形式・時間で解くことで、現時点の実力や苦手分野が客観的にわかります。結果に一喜一憂するのではなく、「どこを補強すべきか」を知るための材料として活用するのがポイントです。
今後の見通し
最後に、これから受験する方が知っておきたい背景にも触れておきます。
近年の社会福祉士国家試験は、受験者数が減少傾向にあります。第37回では前年度から20.0%減少し、2001年度以来23年ぶりに受験者数が2万人台となりました。第38回もこの流れが続いています。一方で、高齢化の進行や複雑化する生活課題を背景に、相談援助の専門職である社会福祉士へのニーズは社会全体で高まっています。
合格率が比較的高い水準で推移している今は、しっかり準備をすれば結果につなげやすいタイミングともいえます。ただし、新カリキュラムへの移行が続いている点には注意が必要です。次回以降に受験する方は、最新の出題基準を必ず確認し、早めに準備を始めておきましょう。
まとめ

社会福祉士国家試験は、出題範囲が広く、全科目群で得点が必要という特徴から、難易度の高い試験とされてきました。一方で、第38回の合格率は60.7%と過去最高を更新しており、適切な対策を積み重ねれば十分に合格を狙える試験でもあります。
大切なのは、過去問を軸に、苦手分野を作らず、試験日から逆算して計画的に学ぶことです。一つひとつの積み重ねが、合格への確かな一歩になります。あなたが社会福祉士として活躍する日に向けて、まずは自分に合った学習スタイルを見つけることから始めてみてください。
出典
- 公益財団法人社会福祉振興・試験センター「第38回社会福祉士国家試験合格発表」(2026年)
- 厚生労働省「社会福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」
- 厚生労働省「第37回社会福祉士国家試験合格発表」(2025年)
監修:中谷ミホ(社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員、保育士)


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