
認知症介護実践リーダー研修は、都道府県や市町村が指定する事業所の主催により実施する研修で、認知症ケアに関する資格のなかでも上位に位置しています。
今回は、認知症介護実践リーダー研修の受講要件やカリキュラム、費用などを詳しく解説します。
認知症ケアに興味のある人は、ぜひ最後までお読みください。
認知症介護実践リーダー研修とは
認知症介護実践リーダー研修は、認知症介護基礎研修や認知症介護実践者研修の上位資格です。
この研修を修了すると、介護施設や事業所のチームリーダーとして、認知症ケアの質を向上させるためのマネジメントスキルを習得できます。
具体的には認知症のある方への対応方法を他の職員に指導したり、地域特性を活かした認知症支援を行ったりすることを目指します。
認知症介護実践リーダー研修の概要
次に、認知症介護実践リーダー研修の受講要件や費用などについて、詳しく見ていきましょう。
受講要件
一般的には以下の通り定められています。
- 認知症介護実践者研修の修了から1年以上経過
- 認知症の介護業務への従事期間が5年以上
- 介護施設や事業所において、リーダーや指導職に従事
- 認知症介護の質を向上させる意欲がある
自治体によって要件が異なる部分もあるため、事前に確認しておきましょう。
受講場所・期間
基本的には研修の実施主体が指定する会場での受講となり、実習は自身が勤務する施設と他施設の両方で行います。
オンラインで受講可能な実施主体もあり、その場合は講義をパソコンやタブレットで受講し、実習は対面での研修と同様に現場で行う流れです。
各課程の受講期間は以下の通りです。
- 講義・演習・・・8~10日
- 他施設実習・・・3~5日
- 自施設実習・・・約4週間
講義や演習は1か月に3~4回のペースで行われることが多いため、研修の修了までに3か月程度かかります。
受講費用
受講費用は都道府県や実施主体などにより大きく異なります。
受講費用の一例を以下にまとめました。
都道府県 | 受講費用 |
東京都 | 無料 |
大阪府大阪市 | 42,000円+3,000円(標準テキスト代) |
広島県 | 45,100円 |
福岡県北九州市 | 16,000円(教材費含む) |
自身が受講する自治体の受講費用は、事前に必ず確認しておきましょう。
受講内容
研修のカリキュラムは以下の通りです。
- 認知症介護実践リーダー研修の理解
- 認知症の専門的理解
- 施策の動向と地域展開
- チームケアを構築するリーダーの役割
- ストレスマネジメントの理論と方法
- ケアカンファレンスの技法と実践
- 認知症ケアにおけるチームアプローチの理論と方法
- 職場内教育の基本視点
- 職場内教育(OJT)の方法の理解
- 職場内教育(OJT)の実践
- 職場実習の課題設定
- 自施設実習
- 他施設実習
- 実習の結果報告・評価
職場の指導者的立場としての指導や援助の方法や、地域で認知症ケアを展開していくための知識を詳細に学べる内容となっています。
認知症介護実践リーダー研修の受講難易度
認知症介護実践リーダー研修には修了試験がなく、すべての研修課程を修了すれば資格を取得できます。
職場のシフトを調整し、研修に休まず参加するなど真面目に受講することを意識すれば、それほど高い難易度ではありません。
ただし、地域によっては研修の申し込み時に課題レポートの提出が求められる場合があります。
認知症介護実践リーダー研修を受講するメリット
認知症介護実践リーダー研修を取得するメリットを3つ紹介します。
認知症ケアのキャリアアップに役立つ
研修修了により、認知症のある方への関わりのみならず他の職員への指導や地域における認知症ケアの普及など、今まで以上に仕事の幅を広げられます。
また、研修の指導者への道を希望する人は、さらに上位の資格である「認知症介護指導者養成研修」を目指すことも可能です。
職場で指導者的立場や地域交流の経験を積むことで、認知症介護指導者養成研修の受講要件を満たしやすくなります。
介護施設への就職や転職活動で有利になる
認知症対応型の介護施設や事業所では、認知症介護実践リーダー研修を取得した職員の需要が高いです。
その理由に、グループホームで短期利用認知症対応型共同生活介護を行う場合、認知症介護実践リーダー研修の修了者が人員基準に含まれることがあげられます。
さらに、認知症専門ケア加算の算定要件にも含まれるため、事業所の収益向上につながる利点もあるのです。
また、認知症対応型以外の介護施設でも、認知症のある利用者の数は増加しつづけています。
そのため、認知症ケアの知識を現場のチーム全体で共有し、協力しながら適切に対応できる職員は、施設側にとって貴重な存在だと言えるでしょう。
資格手当で収入を増やせる
認知症介護実践リーダー研修修了者を配置することで、加算を得られる施設では、職場によって数千円〜数万円の資格手当が支給される場合があります。
また、指導職やリーダーなどの役職に就くことで、役職手当が支給される職場もあります。
収入が増えることで、仕事のやりがいやモチベーションの向上につながり、介護の現場で長く働く支えにもなるでしょう。
認知症介護実践リーダー研修修了後に活躍できる場所
認知症介護実践リーダー研修修了後に活躍できる主な場所を紹介します。
グループホーム・認知症デイサービス
グループホームや認知症デイサービスは、「地域密着型サービス」として位置づけられ、地域で暮らす認知症の高齢者を支える重要な役割を担っています。
これらの施設では、研修で学んだ知識やスキルを活かし、認知症の専門的なケアを提供するとともに、サービスの質の向上にも貢献できます。
特に、グループホームでは、認知症介護実践リーダー研修修了者の配置により短期利用の受け入れも可能になるため、地域とのつながりが広がるメリットがあります。
認知症の高齢者が地域で安心して暮らせる環境を整えるうえで、研修修了者の果たす役割は非常に大きいといえるでしょう。
訪問介護サービス
訪問介護では、職員が1人で利用者の自宅を訪問しサービスを提供します。そのため、認知症ケアの知識や対応スキルを身につけることが不可欠です。
こうした状況の中で、認知症介護実践リーダー研修修了者は、訪問介護事業所内で人材育成や研修の企画・運営を担い、職員全体のスキル向上に大きく貢献しています。
さらに、研修修了者のリーダーシップによって、職員が安心して現場に臨める体制が整い、利用者とその家族に信頼される訪問介護サービスの提供が可能になります。
認知症対応を行う病院
介護施設のみならず、外来や入院で認知症のある方を受け入れている病院でも認知症介護実践リーダー研修修了者が活躍しています。
医療現場では、認知症ケアに不慣れなスタッフも多く、対応に困る場面が少なくありません。そのため、専門知識と実践的なスキルを備えた研修修了者の存在が、医療の現場で大きな力となっています。
研修修了者は、認知症に関する専門知識やチームマネジメント能力を活かし、看護師や介護士など職種間の連携を強化します。これにより、認知症のある方へのケアの質が向上し、患者やその家族が安心して治療を受けられる環境の実現につながっています。
まとめ

認知症介護実践リーダー研修は、介護施設や地域において、認知症ケアのリーダーとして活躍できる資格です。
この研修を修了すると、業務の幅が広がるだけでなく、キャリアアップや給与アップにつながる可能性もあります。さらに、専門的な知識やスキルを身につけることで、より質の高いケアを提供できるようになるので、仕事のやりがいも増すでしょう。
ただし、受講には、ある程度の実務経験と認知症介護実務者研修の修了が必要なため、事前に受講要件を確認し、申し込みを行う必要があります。
認知症ケアの専門性を高め、指導者としてのスキルも身につけたい方にとって、この研修は大きなステップアップの機会となるでしょう。ぜひ受講を検討してみてください。
監修者:中谷ミホ
社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員、保育士
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