訪問リハビリテーションの仕事内容とは?具体的な業務ややりがいを解説!

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訪問リハビリテーションとは、利用者の自宅を訪問し、その人の生活環境に合わせたリハビリを行うサービスです。

在宅生活の中で具体的な目標を立て、達成に向けて支援します。

今回は介護や福祉の現場で働く方に向けて、訪問リハビリテーションの仕事内容ややりがいを解説します。

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訪問リハビリテーションの概要

訪問リハビリテーションは、利用者の自宅を訪問し、リハビリを提供するサービスです。

心身機能や日常生活動作能力の維持・向上を目的に、生活環境や習慣に合わせて個別に支援できるのが大きな特徴です。

訪問リハビリテーションの基本的な仕組みや対象者について、以下で解説します。

訪問リハビリテーションを提供できる機関や職種

訪問リハビリテーションを提供できるのは、以下の医療・介護施設です。

  • 病院・診療所
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院

これらの事業所に所属する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ専門職が、医師の指示のもとでサービスを提供します。

訪問リハビリテーションに従事するには、養成校で3~4年の課程を修了し、国家試験に合格して資格を取得する必要があります。

訪問リハビリテーションの対象者

訪問リハビリテーションの対象者は、要介護認定を受けた要支援1・2および要介護1〜5の方です。

病院やリハビリ施設へ通うのが難しい方や、自宅での生活に合わせたリハビリが必要な方に提供されます。

また、介護保険の対象外となる40歳未満の方や小児などには、医療保険で訪問リハビリテーションを提供するケースもあります。

このように訪問リハビリテーションの対象者は多く、さまざまなケースに関われるのが特徴です。

一人ひとりに合わせた関わりを通じて、幅広い経験を積める仕事といえます。

訪問リハビリテーションの需要

訪問リハビリテーションの需要は年々高まっており、2012年から2022年の10年間で、事業所数が約2,000件も増えました。

背景には、高齢化率の上昇や医療機関での入院期間の短縮、地域包括ケアシステムの推進により、在宅での生活支援がより重視されるようになったことがあります。

医療と生活支援の両面から関われる訪問リハビリテーションは、通所が困難な方や在宅療養を希望する方にとって、有効なリハビリの手段として位置づけられています。

訪問リハビリテーションの具体的な仕事内容

訪問リハビリテーションでは、健康管理やリハビリの実施に加え、利用者・家族への指導、住環境整備、多職種との連携など幅広い業務が求められます。

具体的な仕事内容をみていきましょう。

健康管理

問診やバイタルサイン(血圧、脈拍、体温など)の確認により、その日のリハビリが可能かどうかを判断します。

食事や排泄などの生活状況を確認し、体調の変化や生活リズムの乱れがないかのチェックも欠かせません。

リハビリの実施

各リハビリ専門職の強みを活かして、以下のようなリハビリを提供します。

項目内容
機能訓練関節可動域訓練筋力強化訓練嚥下訓練言語訓練呼吸訓練認知機能訓練(注意力、記憶力など)
基本動作・日常生活動作訓練立つ、座る、歩くなどの基本動作訓練食事、排泄、更衣、入浴などの日常生活動作訓練
社会参加の訓練家事(調理、洗濯、掃除など)買い物や公共交通機関の利用の練習趣味活動(園芸、書道、手芸など)

これらのリハビリは、一人ひとりの生活背景や目標に合わせて個別に計画され、実施されるのが特徴です。

利用者・家族への指導

訪問リハビリテーションでは、専門職が直接関われるのは訪問している時間だけです。

訪問以外の時間でも自主的に運動したり、生活上の注意点を守ったりするために、利用者や家族への指導が欠かせません。

指導の主な内容は以下のとおりです。

指導の項目内容
運動指導目的(筋力の維持や歩行能力の向上など)に応じて運動メニューを提案する痛みや疲労、疾患などに配慮し、無理のない運動量を調整する
生活上の注意点の指導転倒やけがを防ぐための動き方を具体的に伝える福祉用具(杖や手すりなど)の正しい使い方を指導する
介助方法の指導家族の負担を減らしつつ、利用者の力をできるだけ活かせる介助方法を伝えるたとえば排泄時は立ち上がりを見守り、ズボンの上げ下ろしのみを介助するなど、場面に応じた介助方法を具体的に説明する

利用者の自立を促し、家族の負担を軽減するためには、訪問時間以外の過ごし方をいかに指導するかが重要になります。

住環境整備の提案

利用者が安全に、自分の力を発揮して生活するためには、住環境の整備も大切です。

たとえば、歩行が不安定な方には杖や歩行器の導入を検討したり、転倒予防のために手すりの設置や段差の解消を提案したりします。

多職種連携

利用者は訪問リハビリテーションのほか、訪問介護や通所介護など、複数のサービスを利用していることがあります。

そのためケアマネジャーをはじめ、各サービス事業所との連携も欠かせません。

たとえば、訪問介護員に移乗介助の方法を伝えたり、通所介護スタッフに運動方法を助言したりする場合もあります。

緊急時の対応

訪問時に、利用者の体調不良や意識消失などの緊急事態に遭遇することがまれにあります。

状態に応じて、医療機関に問い合わせたり、救急搬送を要請したりすることも時には必要です。

利用者の安全を守るため、異変を早期に発見し、適切に対応できる判断力が求められます。

リハビリテーション計画書の作成

利用者の心身機能や生活環境をふまえ、一人ひとりに合った目標と具体的なプログラムを立てます。

計画にもとづいてリハビリを提供したのち、一定期間ごとに目標の達成状況を評価し、必要に応じて計画を見直します。

訪問リハビリテーションのやりがい

訪問リハビリテーションは、日常に寄り添うからこそ感じられるやりがいがあります。

また、働き方や成果が評価に反映される仕組みを取り入れている事業所もあり、やりがいの形は人それぞれです。

ここからは、訪問リハビリテーションのやりがいについて紹介します。

利用者のやりたいことに寄り添える

病院や施設では、「家に帰ること」自体がリハビリのゴールになるケースが少なくありません。

しかし、自宅に戻ると「お風呂に入りたい」「庭の草むしりがしたい」「買い物に行きたい」といった、生活に根ざした具体的な目標が生まれてきます。

訪問リハビリテーションでは、こうした「その人らしい目標」を達成するため、自宅環境や身体の状態をふまえて支援します。

目標が達成されたときの「できた!」という表情を間近で見られるのは、個別性の高い支援ができる訪問リハビリテーションならではのやりがいです。

移動による発見がよりよい支援につながる

訪問リハビリテーションでは、移動中にさまざまな風景や空気に触れることで気持ちが切り替わり、よい気分転換になります。

道中で感じる季節の変化や地域の雰囲気が、利用者との会話のきっかけになったり、新たな課題に気づくヒントになったりします。

「毎年この時期には花見をしに歩いたのですね」「あの坂道は急ですね」など、その人の生活背景に触れられる点は、訪問ならではの強みです。

こうした日々の発見や関わりが、利用者理解や信頼関係の構築につながっていくのも、やりがいのひとつといえるでしょう。

努力が収入に反映される仕組みがある

訪問リハビリテーションには、成果に応じてインセンティブを支給する職場があります。

たとえば月に80件以上訪問すると、その超えた分について1件あたり4,000円が支給されるといった仕組みです。

ノルマとして件数が課されるわけではなく、自分の希望や体力に応じて訪問件数を調整できる職場もあります。

そのうえで頑張った分が収入に反映される仕組みがあると、達成感ややりがいを感じやすくなるでしょう。

まとめ

訪問リハビリテーションは、自宅で生活する方の「お風呂に入りたい」「草むしりをしたい」といった具体的な目標を一緒に目指す、やりがいのある仕事です。

リハビリ専門職の資格取得には年数が必要ですが、介護や福祉の現場での経験を活かしてみたいと思う方は、ぜひチャレンジしてみてください。

監修者:中谷ミホ

介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士、保育士

鈴木 康峻

2008年に理学療法士免許取得。介護老人保健施設で入所・通所・訪問リハビリに携わりながら、介護認定調査や審査会、地域ケア会議などに関わっています。
現役の理学療法士だからこそ得られる一次情報を活かし、ライターとしても活動。医療・介護に関する記事を執筆しています。
保有資格:理学療法士、ケアマネジャー、福祉住環境コーディネーター2級など

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