
介護の仕事を検討する中で「訪問入浴介護ってどんな仕事?」「訪問介護と何が違うの?」という疑問が沸く人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、訪問入浴介護の仕事内容や必要な資格、訪問介護の違いについてくわしく解説します。
訪問入浴介護とは
訪問入浴介護とは、自宅での入浴が困難な要介護者に対して、専用の浴槽を自宅に持ち込み入浴介助を行う介護保険適用のサービスです。
ケアマネジャーが作成したケアプランに基づいて実施され、利用者の身体の清潔と機能維持、家族の介護負担を軽減させることが主な目的です。
看護師1名と介護職員2名の計3名で利用者宅を訪問するのが一般的で、看護師は入浴前後の健康チェックを行い、介護職員が入浴や着替えの介助を行います。
訪問入浴介護の種類
訪問入浴介護には、以下の2種類があります。
| 指定訪問入浴介護 | 介護予防訪問入浴介護 | |
| 対象者 | 要介護1以上の認定を受けていて、医師から入浴の許可を得ている方 | 要支援1または2の認定を受けていて「自宅に浴室がない」「感染症により施設での入浴が難しい」などの特別な理由がある方 |
| 配置基準 | 看護職員1名、介護職員2名の計3名以上 | 看護職員1名、介護職員1名の計2名以上 |
デベロ老人福祉研究所が2022年に行った調査によると、訪問入浴介護の利用者の74.6%が「要介護4または5」というデータが出ています。
訪問入浴介護と訪問介護の違い
訪問入浴介護と訪問介護は名称が似ているものの、サービスの提供方法や資格要件などで、主に4つの違いがあります。
概要を表にまとめました。
| 訪問入浴介護 | 訪問介護 | |
| 浴槽の持参 | 専用の浴槽を利用者の自宅へ持っていく。 | 利用者の自宅にある浴室を利用する。 |
| 提供するサービス | 入浴介助のみ。 | ケアプランに応じて、入浴介助以外の身体介助や生活支援も行う。 |
| 介護職員の資格要件 | なし。 | 介護職員初任者研修 |
| 配置基準 | 看護師1名、介護職員2名 | 基本的に介護職員1名 |
訪問入浴介護は無資格でも介護職員として働けるため、未経験でも応募できる求人もあるのが特徴です。
一方の訪問介護は、ケアプランに応じて入浴以外にも食事介助や生活支援など、さまざまな業務を経験できるのが魅力です。
自分がどのような働き方がしたいかに応じて、職種を選びましょう。
訪問入浴介護の仕事内容
利用者宅へ訪問した際、どのような流れで仕事を行っていくかを解説します。
専用浴槽の搬入・入浴準備
利用者宅に到着したら、浴槽を室内に搬入し、お湯を張ります。
専用浴槽は1.5〜2畳ほどのスペースがあれば設置でき、組み立て式のため、広いスペースがないお宅でも対応可能です。
浴槽へお湯を運ぶ方法は、以下の2通りあります。
- 入浴車から運ぶ方法・・・利用者宅の水道から入浴車に水を運び、入浴車のボイラーでお湯を沸かす。そこにホースを繋げて、浴槽へお湯を入れる。
- 利用者宅からお湯を運ぶ方法・・・利用者宅の浴槽にお湯を準備し、それをポンプで吸いだして専用浴槽に送る。
①は浴槽の設置場所から入浴車までの距離が近い場合に、②はマンションやアパートなど、浴槽の設置場所と入浴車の距離が遠い場合に選択するのが一般的です。
入浴前の健康確認
高齢者にとって、入浴は血圧の変動が起きやすく体調悪化のリスクがあるため、入浴前の健康チェックは欠かせません。
看護師が利用者の体温・血圧・脈拍などを確認し、問題ないと判断してから入浴準備をします。
体調がすぐれない場合は入浴を中止して、清拭(利用者の身体を蒸しタオルで拭くこと)に切り替える場合もあります。
脱衣・入浴介助
脱衣は利用者の羞恥心に配慮しつつ、身体の冷えを防ぐため、タオルをかけながら速やかに行うことが大切です。
脱衣が終わったら、利用者に応じた方法で浴槽まで移動します。
寝たきりの利用者の場合、スタッフ数人で抱きかかえて移動することもあるため、スタッフ利用者ともに事故やケガのないよう細心の注意を払いましょう。
浴槽に移動したら、利用者の身体を支えるスタッフ、身体を洗うスタッフと役割分担して入浴介助を行います。
利用者の表情を確認し、「お湯加減いかがですか?」などと声かけしながら介助すると、利用者もリラックスしやすいです。
着衣・入浴後の体調確認・後片付け
入浴が終わったら利用者の着衣介助を行い、看護師が体調確認をします。
その間、介護職員は浴槽を掃除し、浴槽や機材を片付け、搬出します。
利用者宅に到着してから、後片付けの完了までの時間は、45〜50分程度が目安です。
訪問入浴介護で働くために必要な資格
訪問入浴介護で働くための資格要件はありません。
ただし、入浴車で利用者宅を訪問するため「普通自動車運転免許」の所持が必須である事業所がほとんどです。
また要介護度の重い利用者が多い背景から、介護関連の資格を持っていると採用に有利になる傾向があります。
持っておくと役立つ介護の資格3つをまとめました。
| 資格名称 | 概要 |
| 介護職員初任者研修 | ・130時間分(10科目)のカリキュラムを修了し、筆記試験に合格すると取得できる。・受験資格がないため、初心者も挑戦しやすい。 |
| 介護福祉士実務者研修 | ・450時間分(20科目)のカリキュラムを修了し、筆記試験に合格(スクールによって無い場合もある)すると取得できる。・介護職員初任者研修を取得していると、130時間分のカリキュラムが免除される。 |
| 介護福祉士 | ・介護分野で唯一の国家資格。・受験資格を満たしたうえで、筆記試験と実技試験の両方に合格すると取得できる。 |
介護福祉士を所持していると資格手当が付いたり、管理者になるには資格が必要だったりする事業者も存在します。
介護職としてのスキルアップやキャリアアップを目指したい方は、資格の取得を検討してみましょう。
訪問入浴介護の仕事に向いてる人は?
- 入浴介助に特化した働き方を希望する人
- 体力に自信がある人
- チームワークが得意な人
- 夜勤なしで働きたい人
訪問介護のようにさまざまな支援を行うのではなく、入浴介助のみを行いたい人に訪問入浴介護は向いています。
また、1日あたり5〜6件前後の利用者宅を訪問し、1件あたり50分程度で入浴介助を行うため体力に自信のある方や健康な方が望ましいです。
浴槽の準備や利用者の入浴介助など、スタッフ複数人で協力しながら行う場面が多いため、チームワークが得意だと安全かつ円滑に業務を行えるでしょう。
訪問入浴介護は日勤のみの事業所が一般的なので「夜勤は家庭の事情で難しいけど、介護の仕事はしたい」という方にもおすすめです。
訪問入浴介護の平均給与
「求人ボックス」によると、訪問入浴介護の平均給与は以下の通りです。
| 分類 | 平均給与 |
| 正社員 | 月収:28万円(年収分布:277~667万円) |
| 派遣社員 | 時給:1,943円 |
| パート・アルバイト | 時給:1,209円 |
正社員の場合、年収の給与幅が多いのが特徴で、勤務先や保有資格、役職などにより差が出てくると考えられます。
まとめ

訪問入浴介護は、要介護度の認定を受けた高齢者の自宅に訪問し、専用浴槽で入浴介助を提供するサービスです。
利用者やそのご家族と近い距離で関われることから、直接感謝の言葉をいただけてやりがいを感じられる魅力があります。
未経験から介護の仕事がしたい方や、入浴介助に特化した働き方がしたい方は、訪問入浴介護の仕事を検討してみてはいかがでしょうか。


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