病児保育士の仕事内容とは?必要な資格や働くメリットも紹介

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病児保育は、共働き家庭の増加に伴い、需要が高まっているサービスのひとつです。

今回は、病児保育で働く病児保育士の仕事内容や必要な資格、働くメリットなどを紹介します。

病児保育に興味のある方や、保育士として働き方の幅を広げたい方はぜひ最後までお読みください。

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病児保育士とは

病児保育とは、病気で通常の保育園や学校へ行けない子どもを一時的に預かり、保育と看護を行うサービスです。

子どもが体調を崩した際、仕事を休めない保護者に代わって世話をすることを目的としており、厚生労働省の「乳幼児健康支援一時預かり事業」として行われています。

病児保育と病後児保育の違い

それぞれの違いを以下にまとめました。

サービス名特徴
病児保育医療機関での治療が必要な急性期の子どもを預かる。
病後児保育病気の回復期に入り、医療機関での治療は不要だが、安静が必要な子どもを預かる。

預かる子どもの状態が異なることを把握しておきましょう。

病児保育の3つの形態と配置基準

病児保育の3つのタイプを紹介します。

施設形態特徴配置基準
病児対応型・病気の急性期〜回復期までの子どもを預かる。・医療施設などに併設されていると、子どもの急変時にも対応できる場合がある。


看護師:子ども10人につき1名以上
保育士:子ども3人につき1人以上
病後児対応型・病気の回復期の子どもを預かる。・保育所に併設されている場合もある。
非施設型(訪問型)看護師や保育士などが自宅に訪問し、急性期または回復期の子どもの保育を行う。保育士など:子ども1人につき1人以上

病児保育士の仕事内容4つ

病児保育士は、通常の保育園に勤務する保育士とは仕事内容が異なります。

順番に見ていきましょう。

子どもの保育と看護

預かる子ども1人ひとりの体調に応じた看護や、無理のない遊びを提供します。

子どもが慣れない場所で安心して過ごせるよう、定期的な検温と経過観察をしながら、丁寧なコミュニケーションを取ることが大切です。

体調に応じた病院の受診

子どもの体調や保護者の意向などに応じて、病児保育士が病院受診の付き添いをすることも業務のひとつです。

施設形態によっては、普段子どもが通っている学校や保育園に保護者からの依頼で迎えに行き、そのまま病院へ連れて行く場合もあります。

預かり中に容態が急変し、受診が必要になるケースもあるため、常に子どもの体調に気を配り、臨機応変な対応力が求められます。

感染症予防のための消毒作業

病児保育施設は、感染症にかかっている子どもや免疫力が低下している子どもも利用するため、通常の保育所以上に念入りな消毒作業が必要です。

子ども達が遊んだおもちゃはその日のうちに消毒し、お昼寝や安静時に使用した布団やシーツなどもこまめに洗濯します。

病児保育士自身も使い捨てエプロンや手袋を使い、こまめに手指を消毒するなど、感染拡大の防止に努めます。

保護者への対応

病児保育では、保護者との関わりも重要な仕事です。

我が子が体調不良のなか、慣れない病児保育へ預けて仕事に行くことに複雑な気持ちを抱く保護者も少なくありません。

病児保育士は保護者の心情に寄り添いながら、子どもの容体や病気の経過などを丁寧にヒアリングすることで、保護者の精神的な負担を緩和するよう努めます。

お迎えの際には、保護者に子どもの1日の様子や体調を対面で伝えると、帰宅後のケアに役立ちます。

病児保育士の1日の流れ

今回は、医療施設に併設されている病児保育に勤務する、病児保育士の1日の流れを表にまとめました。

時間帯主な業務
8:00~8:30保護者から子どもを預かり、前日までの様子や保育の注意点、アレルギーの有無などを確認。子どもの検温後に1日の保育計画を立てる。
9:00~9:30体調に応じたおやつとお茶などの水分の提供。
10:00~11:00医師の診察に付き添う。
11:30~12:30子どもの体調に応じた昼食の提供。食後は医師の指示に従い服薬の援助をする。
13:00~14:30お昼寝を見守りながら、保育日誌を記入する。
15:00~16:00子どもの検温と、体調に応じたおやつの提供。
16:00~17:00無理のない遊びをしながら、静かに過ごす。
17:00~迎えに来た保護者に、1日の様子や自宅で過ごす際の注意点を伝える。

子どもの昼食は、給食を提供する施設と保護者に持参してもらう施設に分かれます。

詳細なスケジュールは勤務先によって異なりますが、子どもの体調を注意深く観察しながら保育を行うことが大切です。

病児保育士に必要な資格

「病児保育士」という資格は存在せず、保育士か看護師の資格があれば病児保育士として働ける施設が一般的です。

医療知識や体調不良の子どもへの対応力を身につけたい方は、以下の民間資格の取得を検討するのもよいでしょう。

資格の名称主催受験資格
認定病児保育専門士一般社団法人 全国病児保育協議会以下すべての条件を満たすこと。
・保育士または看護師の資格保有者。
・全国病児保育協議会加盟施設にて常勤で受講日初日までに2年以上勤務。または非常勤で3年以上勤務し、週20時間以上の実働を有する者。(個人会員は、会員になって2年経過し上記の実務経験を満たす)
・施設長から全国病児保育協議会所定の「施設長推薦状」において、推薦を受けられる者。
・全国病児保育協議会 資格認定委員会が開催する「病児保育専門士認定講習会」をすべて受講できる者。
医療保育専門士一般社団法人 日本医療保育学会・保育士の資格保有者・申し込み時点で日本医療保育学会の正会員

詳細は、各資格の公式Webサイトにてご確認ください。

病児保育士として働くメリット3つ

通常の保育士とは異なるメリットは以下の3つです。

  1. 体力的な負担が軽い
  2. 持ち帰り仕事や残業が少ない
  3. 1人ひとりの子どもとじっくり関われる

施設を利用する子どもは体調不良のため、大半の時間を室内で過ごします。

遊びも静かなものが中心となるため、体力面に不安がある方も働きやすいと言えるでしょう。

病児保育では発表会や運動会といった行事がないため、残業や持ち帰り仕事もほとんどありません。

また、病児保育施設と認可保育所では、保育士の配置基準が異なります。

  • 病児保育施設・・・子ども3人につき保育士1人
  • 認可保育所(3歳児の場合)・・・子ども15人につき保育士1人

少人数保育となる分、預かる子どもとじっくり関われる点に、やりがいを感じる方も多いです。

病児保育士として働くデメリット3つ

就労を検討するうえで、デメリットも把握しておくことが大切です。

  1. 子どもの長期的な成長を見守れない
  2. 行事やイベントがない
  3. 子どもの命を預かる責任が重い

病児保育は、基本的に子どもが病気の期間のみ利用する施設なので、年単位での子どもの変化や成長を見守れません。

通常の保育所で勤務してきた方は、行事に向けての企画立案や練習がないことに物足りなさを感じる可能性もあります。

また、子どもの容体が急変するリスクや、感染症流行の時期でも自身の体調を管理する責任の重さを負担に感じる方もいるでしょう。

まとめ

病児保育士は、子どもが体調不良時に働きに出なければならない保護者にとって、大きな支えとなる職種です。

子どもの命を預かる責任の重さがある一方、1人ひとりの子どもと落ち着いて関われたり、残業が少なかったりと働きやすい側面もあります。

保育士資格を持ち、多様な働き方を検討している方は、病児保育士も選択肢に入れてみてください。

監修者:中谷ミホ(社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員、保育士)

小原 宏美

大学で音楽療法を学び、卒業後は児童養護施設、高齢者通所介護施設にて勤務。生活支援と並行して、音楽療法による利用者のQOL向上に取り組む。現在はフリーライターとして、子育てや美容などに関わる記事を執筆している。保有資格:保育士・介護福祉士・日本音楽療法学会認定音楽療法士(補)

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