老健の支援相談員の仕事内容は?生活相談員やケアマネジャーとの違いも解説

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老健とは、介護老人保健施設の略称で、支援相談員は老健に勤務する職種のひとつです。

福祉業界への就職を検討するなかで、支援相談員について気になっている人も多いのではないでしょうか。

本記事では、老健の支援相談員の仕事内容と、生活相談員やケアマネジャーとの違いなどをわかりやすく解説します。

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介護老人保健施設(老健)とはどんな施設?

老健は、要介護者かつ在宅復帰に向けた療養や支援を必要とする人が、一時的に入所する介護施設です。

提供するサービスは、利用者の在宅復帰を目指すものでなければならないという基本方針があり、長期利用を目的とした施設ではありません。

3か月ごとに入所継続の判定があり、利用者の多くは3〜6か月で退所します。

利用者の在宅復帰、在宅療養支援の地域拠点として、リハビリテーションの提供を通じて機能の維持・改善を促す役割を担っています。

老健に関する詳しい記事はこちら

老健の支援相談員とは

老健の支援相談員は、入所者100名につき1名以上の配置が定められている職種です。

利用者の入退所の手続きはもちろん、本人やご家族からの相談に乗ったり、退所後安心して在宅生活を行うための支援を行ったりします。

また、利用者の担当ケアマネジャーやかかりつけの医療機関との連携も業務に含まれており、介護の幅広い知識と経験が求められます。

資格要件

老健の支援相談員の資格要件は、特にありません。

しかし、専門的な知識と豊富な経験が求められる職種のため、特定の有資格者を採用条件にあげている施設がほとんどです。

支援相談員の採用に有利とされている資格を、以下に紹介します。

  • 社会福祉士
  • 精神保健福祉士
  • 社会福祉主事任用資格
  • ケアマネジャー
  • 介護福祉士

基本的に「介護職経験者かつ有資格者」が採用に有利ですが、「未経験・無資格可」の求人が出ているケースもあります。

支援相談員と生活相談員との違い

支援相談員と生活相談員は、働く場所や資格要件に違いがあります。

支援相談員は老健のみに配置されている職種で、資格要件がなく、短期入所を前提とした利用者の支援が主な仕事です。

一方の生活相談員は、デイサービスや特養など、長期利用が可能な施設に配置される職種で、資格要件は自治体によって定められています。

主な仕事は利用者の支援や外部機関との連絡調整で、この点は支援相談員と共通していると言えるでしょう。

支援相談員とケアマネジャーとの違い

支援相談員とケアマネジャーは、働く場所や資格要件、仕事内容が異なります。

ケアマネジャーとして働くには、介護支援専門員の資格取得が必須です。

ケアマネジャーは老健にも1名以上の配置が定められていますが、ほかの介護施設や居宅介護支援事業所、地域包括支援センターなどでも勤務可能です。

ケアマネジャーの主な業務はケアプランの作成と介護保険料を請求するための給付管理で、支援相談員の仕事内容とは大きな違いがあります。

老健の支援相談員の仕事内容

利用者の入退所をサポートし、在宅復帰に向けた支援を行うのが老健の支援相談員の仕事です。

ここから、それぞれの仕事内容をくわしく見ていきましょう。

問い合わせ対応・入所手続き

医療機関や居宅介護事業所、またはご家族などから、入所を希望する問い合わせが施設に入ります。

支援相談員は問い合わせに対応し、待機状態や本人の心身の状態による入所の可否、費用などの質問に回答します。

入所を希望される場合は、本人またはご家族から入所を希望する経緯をヒアリングしたうえで申込み手続きが必要です。

施設に空室が出た段階で、支援相談員が待機者の自宅または入院先を訪問し、本人と面談を行います。

この時、本人の認知機能や身体状態を把握しておくと、入所後のスムーズな支援につなげられるでしょう。

その後、施設の医師や看護師、リハビリ職員などの多職種を交えて入所判定会議を実施し、入所可能かどうかを協議します。

ここで入所可能と判断されたら、担当ケアマネジャーや入院先の病院、ご家族などと調整しながら入所日を決定します。

入所者とご家族の支援

入所者が安心して施設で過ごしながら、在宅復帰へ向けたサポートを行ったり、相談に乗ったりするのも支援相談員の仕事のひとつです。

退所後のご家族の介護負担や金銭的な不安など、退所後の生活全般の悩みに対し、これまで得た知識や経験に基づいたアドバイスを行いましょう。

自身で解決しきれない課題に関しては、他職種や関係機関に情報共有し、ひとりで抱え込まないことも大切です。

現場のフォロー

支援相談員は、必要に応じてリハビリ職員や介護職員のサポートに入ります。

現場の人手が足りないときに支援相談員が介助を行うことで、入所者の安全を確保するとともに、リハビリの進捗状況の確認も可能です。

介護職未経験の支援相談員は、慣れるまでは介護職員と一緒に介助にあたりましょう。

退所手続き

退所に関する一連の工程も、支援相談員の業務範囲です。

まず、3か月に一度実施される入所継続判定会議に出席し、入所を継続するか、対処するかを話し合います。

退所が決まった場合は事前に自宅を訪問して状況を確認し、必要に応じて福祉用具の利用を検討することもあります。

退所後は担当ケアマネジャーが変更になるため、新たなケアマネジャーへの引き継ぎと情報共有も忘れずに行いましょう。

事務作業

利用者の入所から退所までに関わる書類の作成も、支援相談員が担当します。

主に作成する書類を以下にまとめました。

  • 入所申込書
  • 入所前面談の調査票
  • 契約に関する書類
  • 退所検討会議の議事録
  • 退所情報記録書

入所者の情報や会議の記録を適切にまとめることで、退所後に情報が必要になった際に役立ちます。

その他の業務

上記の業務以外に、利用者やご家族などからのクレーム対応や入所者の通院への付き添い、病院などへの営業活動も支援相談員の仕事です。

入所者に対してはもちろん、施設全体を見て必要な場所へサポートに入ることで、質の高いサービス提供と業務の円滑化につながります。

老健の支援相談員の1日の流れ

一般的な老健の支援相談員の1日の流れをまとめました。

8:30始業、前日の申し送り
9:00問い合わせ対応、資料作成
10:00入所対応
11:00入所相談、見学対応
12:00利用者への昼食配膳、見守り
13:00休憩
14:00入所希望者の自宅または入院先を訪問
15:00リハビリ見学、回診、他職種との情報共有
16:00事務作業、電話対応
17:30退勤

上記はあくまで一例で、この間に入退所判定会議やサービス担当者会議なども随時実施されます。

会議は施設内で行われるほか、関係機関とのミーティングはZoomなどのオンライン会議を利用するケースもあります。

老健の支援相談員は日勤のみで、夜勤を行わないのが一般的です。

まとめ

老健の支援相談員は、入所者とご家族の支援のほか、現場のサポートや関係機関との連携など、幅広い業務を担う職種です。

短期入所を前提とした施設である特性上、常に多くの人と関わり調整を行う責任の重い仕事ですが、入所者の自立をサポートできるやりがいもある仕事です。

就業にあたって資格要件は定められていないものの、介護や福祉に関する資格と一定の経験を積んでおくと、自信を持って業務にあたれるでしょう。

介護職員から一段階上の職種を検討している方は、ぜひ老健の支援相談員も選択肢に入れてみてください。

監修者:中谷ミホ

社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員、保育士

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