保育士の資格を取得するには、指定保育士養成施設を卒業する、もしくは保育士の国家試験に合格する必要があります。
今回は、保育士試験の試験概要や受験資格、試験の難易度についてくわしく解説します。
指定保育士養成施設を卒業していない方で、これから保育士の資格を取得したい方は、ぜひ参考にしてください。
保育士試験の概要
保育士は児童福祉法に基づく国家資格です。
保育士試験は、年2回実施され、筆記試験と実技試験があります。
ここから保育士試験の概要を解説していきます。
開催日程
保育士試験は、毎年「前期・後期」の年2回開催されています。
資格を取得するには筆記試験と実技試験の両方に合格する必要があり、筆記試験合格者のみが実技試験を受験できます。
毎年の大まかな試験日程を表にまとめました。
前期試験 | 筆記試験 | 4月(2日間) |
実技試験 | 7月 | |
後期試験 | 筆記試験 | 10月(2日間) |
実技試験 | 12月 |
そして、令和6年度の保育士試験日程は次の通りです。
【令和6年度保育士試験日程】
・前期試験
筆記試験:令和6年4月20日(土)、21日(日)
実技試験:令和6年6月30日(日)
・後期試験
筆記試験:令和6年10月19日(土)、20日(日)
実技試験:令和6年12月8日(日)
令和6年度に保育士試験の受験を希望する人は、日程をメモして申込み手続きを忘れないようにしましょう。
受験資格
保育士の受験資格は最終学歴により異なります。最終学歴別に表にまとめました。
最終学歴 | 受験資格 |
大学・短大卒業 | 学校教育法に基づいた大学または短大を卒業していれば、学部・学科にかかわらず受験資格あり。 |
専門学校卒業 | 以下の2点を満たしていれば受験資格あり。学校教育法に基づいた専修学校であること卒業過程が就業2年以上であること |
高校卒業 | 1991年3月以前に高校を卒業した場合は、受験資格あり1992年4月以降に高校を卒業した場合は、児童福祉施設で2年以上かつ2,880時間以上の実務経験が必要(※高校の保育科を1996年3月31日以前に卒業した場合は、実務経験にかかわらず受験資格あり) |
中学卒業 | 児童福祉施設にて、5年以上かつ7,200時間以上の実務経験が必要 |
基本的に、大学または短大の場合は卒業していれば受験資格を得られます。
一方、高校または中学卒業の場合、受験資格を得るには実務経験が必要なケースもあります。
自分の最終学歴に応じた受験資格の要件を確認しておきましょう。
試験内容
保育士試験には筆記試験と実技試験があり、筆記試験の全9科目に合格した人のみが実技試験に進めます。
また、所定の条件を満たせば筆記試験科目の一部や実技試験の免除を受けられます。
以下で、くわしく見ていきましょう。
筆記試験
筆記試験はマークシートによる択一式で、全部で8教科9科目あります。
- 保育原理
- 教育原理及び社会的養護
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 保育の心理学
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
各科目において、満点の6割以上の得点で合格です。
ただし、「教育原理及び社会的養護」に関しては、2分野を同時に6割以上得点した場合に合格となります。
筆記試験では一度合格した科目は3年間有効です。
また、以下の資格または免許を取得している人は、筆記試験の一部科目が免除されます。
- 幼稚園教諭
- 社会福祉士
- 介護福祉士
- 精神保健福祉士
くわしくは全国保育士養成協議会にてご確認ください。
実技試験
筆記試験9科目にすべて合格すると、実技試験に進めます。実技試験は、以下の3科目から2科目を選択して受験します。
- 音楽に関する科目
- 造形に関する科目
- 言語に関する科目
各科目の大まかな試験内容を以下にまとめました。
音楽に関する科目 | ピアノ・アコーディオン・アコースティックギターのいずれかの楽器を選択し、課題曲(2曲)を弾き歌いする。 |
造形に関する科目 | 当日示されるテーマ(保育の一場面に関するもの)を、鉛筆と色鉛筆を用いて縦横19cmの絵画に表現する。 |
言語に関する科目 | 課題のお話(昔話など)からひとつ選択し、3歳児クラスの子どもが集中して聞ける想定で、3分にまとめて語る。 |
各科目ごとに準備する内容や当日持参するものが異なります。
造形に関する科目は当日テーマが発表されるため、過去問や問題集を参考にして繰り返し練習しておきましょう。
音楽、言語に関する科目は事前に課題が発表されるので、当日までに課題の練習を重ねることで落ち着いて試験に臨めます。
実技試験で苦手な分野を選択すると、練習が辛くなり、本番を万全の状態で迎えられなくなってしまいます。
試験内容を熟読し、得意な科目や負担なく練習できる科目を選択することが合格への近道です。
尚、幼稚園教諭免許を取得している人は、実技試験が免除されます。
合格率と難易度
子ども家庭庁が公表したデータによると、2022年度の保育士試験の合格率は約29.9%でした。
また、2021年度の合格率は約20%、2020年度の合格率は約24.3%と、例年20%台で推移してるため、保育士試験の難易度は高いと言えます。
難易度が高い理由として、筆記試験の難しさと科目の多さの影響が考えられます。
働きながらの受験などで勉強時間が限られる人は、2〜3年かけて計画的に合格を目指すことも視野に入れると良いでしょう。
独学で幅広い試験範囲に対応するのが難しい場合、予備校や通信講座で学ぶのも選択肢のひとつです。
まとめ
保育士試験には筆記試験と実技試験があります。
合格率は例年20%台となっており、しっかりと準備・勉強しておかないと合格が難しい試験と言えます。
ただし、筆記試験の9科目のうち、合格した科目は3年間有効なため、数回に分けて受験することも可能です。
実技試験は、無理なく練習できる科目を選択することで合格に近づけます。
筆記試験、実技試験ともに条件に応じて科目の免除を受けられるため、該当する方は忘れずに申請しましょう。
独学での合格が難しいと感じる方は、予備校や通信講座で学ぶのも選択肢のひとつです。
自分に合った方法で、計画的に保育士試験の勉強に取り組みましょう。
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