
近年、他職種からの転職や自身の子育てがひと段落した後の就職先として、未経験から保育士を目指す人が増えています。
その一方で「未経験から保育士になるのはきついのでは?」と不安を感じる方も少なくないようです。
今回は、未経験で保育士になるのがきついと言われる理由や、無理なく働ける職場選びのコツなどをくわしく解説します。
未経験で保育士になることは十分に可能
未経験から保育士になることは幅広い年齢層で十分に可能です。
その理由として、以下の2点が挙げられます。
- 保育施設の人材不足が深刻である
- これまでの社会経験や育児経験が業務に活かせる
子ども家庭庁が2024年10月〜2025年1月に行った委託調査によると、保育施設全体の80.3%が保育士などの人手不足を感じています。
また、2025年1月の保育士の有効求人倍率は3.78倍というデータもあり、未経験でも保育士資格があれば採用される可能性は高いです。
また、保育士はチームワークやコミュニケーションといったビジネススキルや子育て経験を活かせる仕事です。
そのため、30代・40代・50代で未経験でも保育士として働けるチャンスは大いにあると言えるでしょう。
未経験で保育士になるのが「きつい」と言われる理由6選
未経験から保育士になるのは可能である一方で、「きつい」と言われる理由があるのも事実です。
ここから主な理由を6つ紹介します。
1.保育士資格を取得するハードルが高い
保育士資格を取得する方法は、以下の2通りです。
- 都道府県知事が指定する「指定保育士養成施設」(大学・短大・専門学校など)で学んで卒業する
- 年2回実施される保育士試験を受験して合格する
指定保育士養成施設は、高等学校卒業後に最短でも2年の通学が必要で、保育士試験は筆記が9科目、実技は「音楽・言語・造形」から2分野を選択する形式です。
いずれのルートも、仕事や子育てをしながら学ぶのは難しく感じる方もいるでしょう。
2.子どもや保護者への対応が大変
保育の現場では、突発的に以下の事態が生じることも珍しくありません。
- 子ども同士のケンカ
- 子どもの登園渋り
- 子どもが集団になじめない
- 子どもの急な体調不良
- 保護者からの育児相談・保育園へのクレーム
これらの事態に対して、未経験の保育士だと適切な対応や声かけがわからず、戸惑ってしまうこともあります。
3.身体的な負担が重い
例えば0歳〜2歳頃までの低年齢クラスを担当すると、抱っこやおんぶをする時間が長くなり、きつく感じるかもしれません。
年少~年長クラスを担当する際も、子ども達と遊んだり、運動会や発表会の指導をしたりと体力的な負担は重いです。
子ども特有の元気な声や騒がしさに慣れていないと、精神的にも疲れを感じやすくなります。
4.先輩保育士との関係に気を遣う
30代〜50代で未経験から保育士になると、20代の保育士が先輩になるケースもあり、接し方に気を遣うという声も聞かれます。
保育の現場は、慢性的な人手不足から常に職員が慌ただしく動いているため、質問するタイミングが掴めないこともあるでしょう。
一方で、指示を待っているだけだと先輩保育士から「主体性がない」と判断されることもあり、立ち振る舞いに戸惑うこともストレスになりやすいです。
5.業務量が多く余裕がなくなる
保育士は子どもや保護者への対応だけでなく、以下のようなさまざまな業務が存在します。
- 連絡帳の記入
- 保育計画や保育日誌の作成
- 行事の準備
- 季節ごとの壁面の作成
- 教室やトイレなどの掃除
未経験だと、子ども達の安全を確保しながらこれらの業務をこなす余裕がなく、きつさを感じることもあります。
6.給与と仕事内容のバランスが合わないと感じる
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」による、保育士の平均給与を表にまとめました。
| 平均月収 | 平均賞与 | 平均年収 | |
| 男性 | 30万円 | 79万3000円 | 438万円 |
| 女性 | 28万6000円 | 73万8000円 | 404万5000円 |
(出典:「令和6年賃金構造基本統計調査」)
令和6年の給与所得者全体の平均給与が男性587万円、女性333万円であることから、女性に関しては全体の平均よりも高水準となっています。
一方で、日々の業務量の多さや子どもの命を預かる責任の重さを考えると、仕事内容に対して給与が見合っていないと感じる人もいるでしょう。
未経験から保育士資格を取得する方法4選
未経験から保育士になるハードルは高いものの、工夫次第で十分取得可能です。
代表的な方法を4つご紹介します。
- 3年かけて保育士試験に合格できるよう計画を立てる
- 夜間や通信制の指定保育士養成施設に通う
- ハローワークの職業訓練制度を利用する
- 保育補助として働きながら資格取得を目指す
保育士試験の筆記試験は、一度合格した科目は3年間有効なため、計画的に合格を目指す方も多いです。
指定保育士養成施設に通う方は、夜間や通信制の学校を選ぶと仕事や家庭と両立しやすくなる場合があります。
金銭的な負担が気になる方は、ハローワークの職業訓練「保育士養成科」の利用を検討するとよいでしょう。
条件を満たせば専門学校または短大に通う2年間の学費が無料になり、失業手当をもらいながら学校に通えます。
働きながら保育士を目指す方は、まず資格なしで働ける「保育補助」として就職するのもおすすめです。
資格取得に向けて学んだことを現場で活かせますし、自分にとって保育士がきついかどうかを早めに確かめられる点もメリットです。
保育士になる方法を詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
未経験の保育士でも働きやすい職場選びのコツ
未経験で保育士になって長く働き続けるには、慎重な職場選びが大切です。
ポイントを3つまとめました。
- 「未経験者歓迎」の施設を選ぶ
- 複数の施設を見学して検討する
- 転職エージェントを活用する
求人情報に「未経験者歓迎」と書いてある施設は、就職後に丁寧に指導してもらえる可能性が高いです。
また、未経験で保育士になった人にどのような業務を任せるかは、施設の方針によって大きく異なります。
職員同士の相性もあるため、複数の施設を見学して比較検討することで、就職後に「こんなはずじゃなかった……」というギャップを減らせるでしょう。
自分に合う施設を探す自信がない方は、転職エージェントを活用し、専門のアドバイザーに提案してもらうのも有効です。
未経験で保育士になるメリットもある
未経験で保育士になるのはきついことばかりではなく、以下のメリットもあります。
- 経験を積めばキャリアアップできる
- ブランクがあっても復職しやすい
- 子どもの成長する姿にやりがいを感じる
就職後にコツコツ経験を積めば、主任や園長といった役職に就ける可能性もあり、給与アップも見込めます。
妊娠出産や家庭の事情などで一度退職しても、比較的復職しやすい職種のため、長期的な視点でキャリアを築いていけるのも魅力です。
保育士は心身共に大変な仕事ですが、子どもの成長を間近で見守れることに、大きなやりがいを感じる方もいるでしょう。
まとめ

未経験から保育士になるのは、保育士資格を取得する大変さや保育士業務の負担の重さから、きついと感じることもあるかもしれません。
一方で、資格取得方法を工夫し、職場選びを慎重に行うことで未経験からでもやりがいを持って働いている人もたくさんいます。
自分の選択に自信を持ち、無理のない方法で保育士を目指しましょう。
監修:中谷ミホ(社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員、保育士)


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