児童発達支援管理責任者(児発管)とは?要件や仕事内容・給与について解説!

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児童発達支援管理責任者は略して「児発管」とも呼ばれており、障害児支援の中心的役割を担う職種です。

障害児支援事業所で働く人のキャリアアップの選択肢に入る一方で、要件を満たす基準が複雑なため、難しく感じている人が多いのも事実です。

そこで今回は、児童発達支援管理責任者になる方法や仕事内容、給与などをくわしく解説します。

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児童発達支援管理責任者(児発管)とは

児童発達支援管理責任者(以下児発管)は、障害児支援において子どもの個別支援計画の作成と評価や、関係機関との連携をはかる職種です。

元々、平成18年(2006年)の障害者自立支援法施行により、サービスの質の向上をはかる目的でサービス管理責任者が創設されました。その後、平成24年(2012年)の児童福祉法改正により、サービス管理責任者と同様の役割として児発管が位置づけられています。

児発管は、障害児支援事業所に1名以上配置することが義務づけられており、障害児支援のサービスの質を担保する重要な役割を担っています。

児童発達支援管理責任者(児発管)になるには

児発管になるための大まかな流れは以下の通りで、すべての要件を満たすためには最短でも3年以上かかります。

  1. 所定の実務経験を積む
  2. 基礎研修・OJT・実践者研修を受講する

また、要件を満たした後は5年ごとに更新研修の受講が必要です。それぞれくわしく見ていきましょう。

所定の実務経験を積む

障害者の「保健・医療・福祉・就労・教育」の分野における、相談支援または直接支援の実務経験が3〜8年必要です。

それぞれの支援の概要は以下の通りです。

  • 相談支援業務・・・障害者の自立に関する相談に応じ、助言や指導、その他の支援を行う業務
  • 直接支援業務・・・障害者の入浴、排せつ、食事などの介護や機能訓練、職業訓練などを行う業務

必要な年数は保有している資格や務めている事業所、業務内容などにより異なるため、詳細はお住まいの都道府県支所にて確認してください。

基礎研修・OJT・実践研修を受講する

実務経験の要件を満たしたら、以下の順序で研修とOJTを受講し、すべて修了すると児発管として配置されます。

  1. 基礎研修・・・26時間
  2. OJT(実践研修受講要件としての実務経験)・・・2年以上
  3. 実践研修・・・14.5時間

ただし、実務経験の要件を満たした基礎研修修了者が以下の業務に従事する場合、OJTの期間が6か月以上で実践研修を受講できます。

  • 児発管等が配置されている事業所において、個別支援計画の原案の作成までの一連の業務を行う場合
  • やむを得ない事情により児発管等を欠いている事業所において、児発管等とみなして従事し、個別支援計画の作成の一連の業務を行う場合

また、基礎研修に関しては実務経験の要件を満たす2年前から受講可能です。

継続的に児発管として従事するには5年ごとの更新研修が必要

児発管として継続的に働くには、5年ごとに更新研修の受講が必要です。

なお、更新研修を受けるには以下のいずれかの要件を満たさなければなりません。

  • 研修受講前5年間に2年以上の児発管等・管理者・相談支援専門員の実務経験がある
  • 現在、児発管等・管理者・相談支援専門員として従事している

一度要件を満たした後に児発管としての勤務実績がない場合、更新が難しくなるので注意しましょう。

児童発達支援管理責任者(児発管)が働ける場所

児発管が働ける場所の一部を表にまとめました。

通所系サービス・児童発達支援事業所・児童発達支援センター・放課後等デイサービス
入所系サービス・福祉型障害児入所施設・医療型障害児入所施設
訪問系サービス・居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援

厚生労働省の調査によると、障害児支援の事業所数は通所系サービスを中心に年々増加しており、児発管が活躍できる場もさらに増えると予想されます。

児童発達支援管理責任者(児発管)の仕事内容

児発管の主な仕事は個別支援計画の作成と評価ですが、それ以外にもサービスの質を維持するためにさまざまな業務を担っています。

ひとつずつ見ていきましょう。

個別支援計画の作成・評価・見直し

子ども一人ひとりの発達や心身の状態、保護者からの希望などに応じて目標を設定し、サービス担当者会議を開催した後に個別支援計画書を作成します。

支援開始後は、一定期間ごとに子どもや保護者と面談し、中間評価(モニタリング)の実施が必要です。

モニタリングを通じて支援の提供状況や効果、支援による満足度などを把握し、必要に応じて支援計画の見直しを行います。

計画の評価と見直しにより、子どもができるようになったことや新たな課題がわかることも多く、より良いサービス提供のために重要な業務です。

利用者の家族や関係機関との連携

子どもだけでなく、保護者とも定期的にコミュニケーションを取り、家庭での状況や困りごとに対して適切な助言や指導を行います。

特に、進級や夏休み明けなどの生活の節目や、年齢による発達の変化が起こるタイミングで不安や悩みを抱える保護者が多いです。

児発管は、子ども自身や保護者の心情の変化を見逃さず、気軽に相談できる関係性を築くことが求められます。

また、子どもが通っている学校や保育園などの関係機関とも必要に応じて連携を取り、地域全体で統一した支援を行えるよう努めます。

施設職員への指導

現場の保育士や指導員に対して、必要な知識や技術を指導することも仕事のひとつです。

日頃からスタッフ同士で密にコミュニケーションを取り、情報共有を徹底するとサービスの質が良くなるだけでなく、業務の効率化にも繋がります。

個別支援計画を作成している児発管がチームのリーダーとなり、支援方針を積極的に示していくことが大切です。

その他の業務

児発管が管理者を兼務している場合は、職員の労務管理や障害福祉サービスの利用料請求、新規利用者の契約手続きなどの事務作業も行います。

また、状況に応じて見学者対応や利用者の送迎のほか、現場が手薄なときは直接支援業務のサポートにも入ります。

児童発達支援管理責任者(児発管)の平均給与

特定処遇改善加算の届出をしている事業所等における、児発管の平均給与は以下の通りです。

令和3年(2022年)12月令和4年(2021年)12月
常勤の者371,320円352,430円
非常勤の者133,000円128,260円

   (出典:厚生労働省「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」)

近年、政府が福祉職従事者の処遇改善に力を入れており、常勤・非常勤問わず給与は増加傾向にあることがわかります。

まとめ

児発管は、子ども一人ひとりの個別支援計画の作成や保護者の支援、さらにはスタッフへの指導も行うなど障害児支援において重要な役割を担っています。

管理者と兼務する場合も多く、幅広い知識と経験が求められるため、児発管の要件を満たすのは決して簡単ではありません。

しかし、子どもの成長を間近で見守れたり、子どもや保護者が抱える課題を寄り添いながら一緒に乗り越えられたりとやりがいの大きい仕事です。

障害児支援事業所の数は年々増加しており、事業所ごとに1名以上配置義務のある児発管の需要はさらに高まることが予測されます。

障害児支援に興味のある人や、障害児分野でのキャリアアップを検討している人は、ぜひ児発管を目指してみてください。

小原 宏美

大学で音楽療法を学び、卒業後は児童養護施設、高齢者通所介護施設にて勤務。生活支援と並行して、音楽療法による利用者のQOL向上に取り組む。現在はフリーライターとして、子育てや美容などに関わる記事を執筆している。保有資格:保育士・介護福祉士・日本音楽療法学会認定音楽療法士(補)

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