インクルーシブ保育とは?メリットと求められるスキルを紹介

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インクルーシブ保育は、すべての子どもが障がいのある・なしに関係なく、一緒に遊び、学びながら育つことを目指す保育の形です。

本記事では、インクルーシブ保育の基本的な考え方やメリット、そして実践の現場で必要とされるスキルについて紹介します。

障がいのある子どもと関わる仕事に興味のある方や、保育の分野でより深い知識を身につけたい方は、ぜひ参考にしてください。

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インクルーシブ保育とは

インクルーシブ保育は、障がいの有無にかかわらず、すべての子どもが共に過ごし、学び合うことを目的とした保育の形態です。

多様化が進む社会において、インクルージョン(包摂)という考え方を保育現場に取り入れ、子どもたちが幼い頃から多様性を自然なものとして受け入れられるようになることを目指しています。

例えば、車いすを利用する子どもや、言葉の発達がゆっくりな子どもも、同じクラスの仲間と日常を共有しながら生活します。保育者は、一人ひとりの特性を踏まえた配慮や支援を行い、すべての子どもが安心して学び、成長できる環境を整えます。

統合保育との違い

インクルーシブ保育と似た言葉に「統合保育」があります。

統合保育は、障がいのある子どもとない子どもが同じ環境で過ごす保育形態です。障がいの有無を認識したうえで、共に活動することを重視しています。

一方、インクルーシブ保育では、子どもの障がいの有無、国籍などに関わらず、年齢や性別と同じく個性の一つとして認識します。すべての子どもが平等であるという考え方に基づき、子ども一人ひとりの特性やニーズに応じた支援を提供しながら、共に過ごせる環境をつくるのが大きな特徴です。

インクルーシブ保育のメリット

インクルーシブ保育には、子ども・保育者・地域社会にとって多くのメリットがあります。

1. 子どもの社会性が育まれる

インクルーシブな環境で育つ子どもは、他者を思いやる気持ちや、多様性を受け入れる力を自然に身につけていきます。

たとえば、障がいのある子どもに対して声をかけたり、そっと手を差し伸べたりする姿は、特別な指導がなくても見られるようになります。

また、障がいのある子どもにとっても、同年代の友だちと日常的に関わる機会が増えることで、孤立感がやわらぎ、安心して園生活に参加できるようになります。こうした相互の関わりの中で、子どもたちの社会性が自然と育まれていくのです。

2. 保育者の専門性が高まる

インクルーシブ保育を実践することで、子どもの発達段階に合わせた指導方法や、状況に応じた適切な言葉かけを学ぶことができ、保育者としての専門性を高めることができます。

さらに、通常の保育ではなかなか見られない子どもの反応や行動を間近に見ることで、障がいのある子どもの支援方法や療育への理解が深まります。これにより、保育者としての知識や視野を広げることができるでしょう。

3. 社会全体の意識向上

誰もが社会の一員として自然に受け入れられる環境が作られていくことも、大きなメリットと言えるでしょう。インクルーシブ保育が広がることで、障がいのある子どもとない子どもが共に過ごす様子が当たり前の光景となっていきます。

インクルーシブ保育の現場で求められるスキル

インクルーシブ保育を実践するには、子どもへの理解や関係者との連携、そして学び続ける姿勢が求められます。ここでは、特に重要とされる3つのスキルをご紹介します。

コミュニケーション力とアセスメント力

子どもの発達段階や障がいの特性を的確に把握するためには、「アセスメント力」が不可欠です。行動や身体的な特徴、家庭環境などを総合的に評価し、その子に必要な支援方法を見極める力が求められます。

また、保育の目標や支援方法を保護者や他の保育者と共有する場面も多いため、円滑なコミュニケーション力も必要となります。

チームワークと情報共有

インクルーシブ保育では、多職種が連携して支援にあたるため、周囲と協力し合う力も必要です。支援方針や子どもの様子をこまめに共有し、チームとして一貫した対応を行う力が求められます。

柔軟な対応と学び続ける姿勢

子どもの体調や気分、クラスの雰囲気によって求められる対応は変化します。また、福祉政策や教育制度の変更により、新たな対応が必要になることもあるため、臨機応変に対応できる柔軟性が重要となります。

さらに、障がいに関する研究や支援方法は常に進化しているため、日々の保育に反映させていく姿勢も大切です。

障がいのある子どもと関わる仕事

インクルーシブ保育を実践している保育園や児童福祉施設などでは、障がいのある子どものケアや教育に携わる専門職が必要とされています。ここでは障がいのある子どもと関わる仕事の主な例として、8つの分野を紹介します。

①児童発達支援センター

未就学児(0歳~就学前)とその保護者を支援する通所型施設です。日常生活スキルや集団生活への適応をサポートし、子どもの発達を促します。

②児童発達支援事業所

地域に根ざした小規模な施設で、未就学児の生活スキル習得や社会性の育成を支援します。

③障害児入所施設

障がいのある子どもが生活しながら学ぶ施設です。日常生活動作やコミュニケーション能力の向上を図り、学齢期の子どもには学習支援も行います。

④相談支援事業所

障がいのある子どもや保護者の相談に応じ、サービス利用計画の作成や関係機関との調整を行います。

⑤放課後等デイサービス

障がいのある小学生から高校生を対象に、放課後や休日の訓練・学習支援・地域交流の場を提供します。学童保育に近い役割を担います。

⑥保育所・幼稚園(インクルーシブ保育を実践する園)

障がいのある子どもとない子どもが共に過ごす場です。保育士や教諭は個々に合った関わりを工夫しながら、保育活動を進めます。

⑦特別支援学校(教員)

専門的な支援を必要とする子どもたちに、個別指導やグループ学習を提供します。日常生活のサポートや職業教育を通じて自立を支援します。

⑧教育委員会・行政の相談職

自治体の教育委員会や行政機関で、障がいのある子どもや保護者の相談に応じます。地域の教育・福祉資源を結びつけ、家族を支援する役割を担います。

まとめ

インクルーシブ保育は、障がいの有無にかかわらず、すべての子どもがともに学び、育ち合える環境です。日々の関わりのなかで育まれる共感力や社会性は、子どもたちにとってかけがえのない力となっていきます。

一方で、保育者にとっても、多様な子どもと向き合い、特別支援の知識を深めたり、多職種との連携を経験したりと、専門性を高める機会に恵まれる点も大きな魅力です。

インクルーシブ保育に興味のある方は、まずは保育士資格の取得や保育ボランティア、実習などを通じて、実際の仕事に触れてみることから始めてみてはいかがでしょうか。

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