加配保育士とは?配置基準や仕事内容・無資格でもなれるのかを解説

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障がいのある子どもが保育園で安心安全に生活するために、加配保育士は重要な役割を果たしています。

本記事では、加配保育士の配置基準や仕事内容などについてくわしく解説します。

障がい児支援に興味をお持ちの人は、ぜひ最後までお読みください。

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加配保育士とは

加配保育士とは、障がいのある子どもや集団生活を送るうえでサポートが必要な子どもに対して、通常の職員数に加えて配置される保育士のことです。

厚生労働省によると、障がい児を受け入れる保育園の数は2012年からの9年間で約6,400か所増加し、総数は21,000か所を超えています。

出典:厚生労働省の取組について

また、国は2018年(平成30年)に障がい児保育に関する予算額をそれまでの400億円程度から、880億円程度に拡充させました。

以上の背景からも、加配保育士のニーズは高まっていると言えるでしょう。

加配保育士の配置基準

2025年2月現在、国による明確な加配保育士の配置基準はなく、各市町村の判断に委ねられています。

認可保育所における障がい児の受け入れは「療育手帳の所持」などの基準を設けている園が多い一方、小規模な自治体では基準を設けず申し出があった場合は誰でも受け入れる園も存在します。

障がい児保育における加配基準に関しても「おおむね障がい児2人あたりに保育士1人」といった基準を設けている自治体がある一方で、「具体的な基準はない」自治体も多いです。

加配保育士として働きたい人は、お住まいの自治体の配置基準を事前に確認しておくとよいでしょう。

加配保育士の仕事内容

加配保育士の仕事は、障がいのある子どもの専属担当となって園生活をサポートすることであり、一般的な保育士の業務とは内容が大きく異なります。

ここからくわしく見ていきましょう。

園生活のサポート

担当する子どもの障がいや特性に合わせて、園生活をスムーズに送れるようサポートします。

集団生活では時間に合わせて行動し、生活上のルールを守る必要がありますが、障がいを持つ子どもはこれらに対応するのが難しい場面も少なくありません。

そのような時、加配保育士が子どもに寄り添いながら、楽しく園生活が送れるよう支援します。

身体的な障がいがある場合は状態に応じて着替えや排せつの手助けをしたり、発達障がいの場合は本人の気持ちが落ち着くよう関わったりします。

障がいの種類や程度、個人の性格によって適切な声かけや援助の仕方が異なるため、障がい児支援に関するさまざまな知識と経験が必要です。

個別カリキュラムの作成

保育園では月ごとや週ごとにクラスの保育目標を設定しますが、障がいを持つ子どもは保育目標の達成が難しいケースもあります。

そのため、加配保育士が担当児童の個別カリキュラムを作成し、子どもの障がいや発達段階に応じた目標を設定します。

目標の設定を通じて担当児童に必要なサポートが明確になり、無理のないペースで成長に向けた支援を行いやすくなるでしょう。

他児童との関係をサポートする

園生活を送る中で、他児童と円滑に関われるようサポートすることも、加配保育士の大切な仕事のひとつです。

例えば、お友達が持っているおもちゃを衝動的に取ってしまってケンカになるといった、子どもならではの些細なトラブルは頻繁に発生します。

上記の場合、加配保育士は「そのおもちゃ、〇〇君が使っていたよ」と状況を伝えたり、「後でかしてって言ってみる?」と気持ちの伝え方を教えたりします。

このようなトラブルを通じて、子どもはコミュニケーションを学べるため、子どもの気持ちに寄り添いながら落ち着いて対応していきましょう。

保護者や関係機関との連携

担当児童の保護者からの相談や、気持ちのケアも加配保育士の業務内容に含まれます。

登園前の子どもの様子や自宅での関わり方を把握することが園での適切な支援にもつながるため、保護者が信頼できる関わり方を意識することが大切です。

また、担当児童が児童発達支援を利用している場合は、関係機関と連携して支援方法を共有する場合もあります。

保護者や関係機関への対応に悩んだ時はひとりで抱え込まず、クラス担任や保育主任などに相談し、園全体で考えることが保育の質向上にもつながります。

加配保育士は無資格でもなれる?

加配保育士になるための特別な研修はありませんが、通常の保育士同様に保育士資格を求められることが多いです。

保育士資格を取得するには保育士養成学校を卒業するか、保育士試験に合格する必要があり、いずれも障がい児保育に関するカリキュラムが含まれるためです。

ただし、東京都をはじめとした一部の自治体では、無資格でも加配保育士として働ける園も存在します。

加配保育士の給料と働き方

加配保育士の平均給与は一般の保育士と同程度で、令和5年度の全国平均は22.1万円(月額)です。

また、加配対象となる子どもの人数は毎年変動があり、必要な加配保育士の数も年度ごとに変わるため、加配保育士の正社員の求人は少ない傾向にあります。

担当児童が欠席した日はフリーの保育士として勤務するケースが一般的なため、パートや契約社員のほか派遣社員などで募集する園が多いです。

結婚や子育てなどの理由で常勤の保育士として働くのが難しい人は、加配保育士としての就労を検討するのもおすすめです。

加配保育士に向いている人

これまで解説してきた内容をもとに、加配保育士に向いている人を紹介します。

障がい児支援への興味や熱意がある人

障がい児支援に対する熱意があり、障がいを持つ児童や保護者への関わり方について学び続ける意欲のある人は、加配保育士に向いています。

同じ障がいを持っているからと言って、子ども1人ひとりに対する関わり方や支援方法に絶対的な正解があるわけではありません。

自治体や保育園が開催する研修やセミナーに積極的に参加し、具体的な支援方法やケーススタディを学ぶことで、自身の対応の幅を広げられます。

障がいに関する知見を深めることで保護者の心情を理解することにもつながり、保護者の悩みや苦悩に対して適切な助言を行いやすくなるでしょう。

子どもの小さな成長に目を向けられる人

障がいを持つ子どもの成長は「上着の袖を自分で通せるようになった」「気持ちが落ち着くまでの時間が昨日より早かった」など、些細なものもあります。

そのような日常の変化を逃さずキャッチし「〇〇ができるようになったね!」と子どもに伝えて一緒に喜べる人は、加配保育士のやりがいを感じやすいです。

子どもの小さな成長に気づけると、保護者に「今日こんなことがありましたよ」と共有でき、保護者の喜びにもつながります。

障がいを持つ子どもの親は、子育てに対する不安から「できない部分」ばかりが目についてしまう場合もあります。

子どもが「できるようになったこと」をこまめに共有してくれる加配保育士は、保護者にとって心強い存在となるはずです。

まとめ

障がいを持つ子ども1人ひとりに応じたサポートをする加配保育士は、園の子ども同士の関係調整や保護者対応など、大変な部分も多い仕事です。

しかし、集団生活が基本の保育園において、担当児童をじっくりサポートでき、成長を間近で見守れる業務は、大きなやりがいも感じられます。

障がい児を支援する仕事に就きたい人は、ぜひ加配保育士を選択肢のひとつに入れてみてください。

監修者:中谷ミホ

社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員、保育士

小原 宏美

大学で音楽療法を学び、卒業後は児童養護施設、高齢者通所介護施設にて勤務。生活支援と並行して、音楽療法による利用者のQOL向上に取り組む。現在はフリーライターとして、子育てや美容などに関わる記事を執筆している。保有資格:保育士・介護福祉士・日本音楽療法学会認定音楽療法士(補)

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